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144.モグエル降臨

 家族の入院やらありちょいバタバタしてて遅れました。

 すんまへん<(_ _)>

 あと、久々のエミカ視点です。




 ――ドウ”ゥ~~~ン。



「あっ」


 最終階層に転送した瞬間、目に映ったのは逆さまの景色。

 見上げると半壊した氷の建築物らしき物が天井部分に張りついてる。

 もしかして、ここは上下反対の世界? なんて思った直後だった。私の身体は頭上の天井側に向かって急激な上昇を開始した。


 うわ、何これ。

 めっちゃ引っ張られてる。

 あれ? でも、なんか違うような?

 あ、これあれだ。

 ()()()()()()だ。頭から、真っ逆さまに――


 なんてことはあるけど、なんてことはなかった。

 サリエルの奴、最終階層の地面と天井を間違って私を転送させたっぽい。

 わはは。

 まったく、おっちょこちょいな天使さまダナー。


「――てっ、こんな時になんてミスしてくれてんだああぁ~~~!!」


 直接文句をいいたくてものほほん天使はすでに私の指示を忠実に守り、透明になって姿を消してる。たぶん近くにはいるはずだけど、どこにいるかは不明だ。

 ただ、サリエルのお守りがあるのでこのまま落ちてもダメージの心配はなし。

 できるだけ冷静になるよう努めつつ、私は周囲を確認した。


「おっ!」


 キョロキョロ周囲を見渡したあと次に地面のほうにも視線を向ける。すると、下方に人影らしきものがいくつか見えた。

 ちょうど真下にオレンジ色の点――てか、人の頭が2つ。

 ん、オレンジ? ってことは、あれがパメラ?

 でも、なんで2つ……?

 分身(アバター)のスキルを使ってるとか?

 あ、いや、てか今はそんなことよりも、このままじゃ――


「あわわ、ヤバいヤバいヤバい!!」


 パメラっぽい2人の人物は完全に私の真下にいた。

 私は落ちて無傷でも、巻きこまれた側は最低でも大ケガ確実。パメラを助けにきたっていうのに、マジでシャレにならない状況だった。


「ぎゃあああああああああああぁぁぁっーーー!!」


 とにかく今できることは注意喚起。叫びつつ、私は自らの存在を全力でアピールした。



「どいてええええええええぇぇぇっ――!!」

「――っ!?」



 その甲斐あって、なんとか最悪の事態は避けられた。地面まであと数フィーメル。そこで2つの人影は、さっと視界から消える。

 次の瞬間、私はその空いた地面の上に頭から突っこんだ。



 ――バイイイイィィィィ~~~~ンッ!!



 そして墜落すると同時、私はモグラきぐるみーの弾力性と反発性でまた高く飛び上がった。グルグルと世界が回る。それから壁だか地面だか、さらに何度も硬い場所にぶつかってバウンド。

 ダンゴムシの気分を味わいながら私は地面を激しく跳ね、転がる。



 ボォン――!


「「――ぎゃっ!?」」



 状況もわからないまま、やがて妙にやわらかいものと衝突。反動でさらにしばらくゴロゴロ転がったあと、そこでようやく私は止まった。


「うぇっ……め、めっちゃ酔った……」


 両手をついてヨロヨロ起き上がると、魔眼のスコープ越しに倒れてる人物が2人確認できた。どっちもかわいらしい小さな女の子だ。仰向けで目を回したまま、完全に気絶してる。

 ひどい。

 こんな年端もいかない子たちを、一体誰が……。


「って、私か」


 はい、白状します。

 どさくさの中、なんか人っぽい塊をはねた感触はある。てか、間違いなく犯人は私だ。

 でも、この気絶してる子たち、アラクネ会長がいってた双子と特徴が一致してる。つまりは彼女たちはパメラを連れ去りにきた組織の連中で、敵。それを意図せず倒せたのはラッキーだけど、肝心のパメラは一体どこに――


「あ、いた!」


 後ろを振り返ると、そこでうつぶせのまま顔だけを上げてるパメラを発見した。倒れてるけど意識はあるようだし、負傷した様子もない。よかった。とりあえずは一安心。

 ただ、その奥には双子の仲間と思われる人物の姿もあった。


 真っ黒なヒラヒラのドレス。

 胸元になんかボロボロの布の塊を抱いてる。それは私ぐらいの歳の女の子で――って、あれ? この子、どっかで見たような……あっ! 王子様を襲撃した昨日のメン――


「――エミカ、気をつけて」


 疑問が解けて、さらなる疑問が浮かんだところだった。

 不意に耳元でサリエルの囁き。

 数瞬後、背後に気味の悪い殺気を感じた私は咄嗟に前方に飛んだ。



 ヒュン――!



「――うひゃ!?」


 直後、頭上で風切り音。

 モグラきぐるみーの弾力性を活かしつつローリングで移動後、すばやく振り向いて身体の向きを変えた私は、パメラを背にする形で殺気を放ってきた人物と対峙した。


「……」

「……」


 葬礼の時に着るような真っ黒なドレスを身にまとった、ちょっと大人な雰囲気のお姉さん。

 多少白いものが混じってはいるけど、髪は鮮やかなオレンジ。パメラと同じ色だ。どうやらさっき頭上から見えた点の1つはこの人だったらしい。

 その手には〝死神〟を連想させる大きな鎌が握られている。

 さっきの風切り音がなんだったのかこれではっきりした。

 それと、この人が間違いなく敵であることも。


「……ね~、あなた何者ー? というか、どっから湧いて出たわけ?」


 湧くって、人をモンスターみたくいわないでほしい。いや、たしかに今はモンスターっぽい見た目ではあるけど。


「フッフッフ」


 ただ、アラクネ会長とも約束したので素直に自己紹介するわけにもいかない。正体を隠すため適当な口上を述べることにする。


「我はモグラの精霊――モグエル。常に弱き者の味方であり……えっと、その、なんていうか……そ、そう! 正義の使者なのだ! 世界の秩序を乱す者よ、これ以上の狼藉はこの大地を愛するモグエルが許さん! 神妙にお縄につけぇ~い!!」

「……」

「……」

「……んー、あの双子の力を借りでもしない限り、ここにはこれないはずなんだけど。まー、いいや。とりあえずあなたが何者かどうか、あなたの悪夢を見れば済む話だしね~」


 あ、ひどいやこの人。

 こっちは両腕を水平に上げてしっかりポーズまで決めて精霊キャラを演じてるのに、普通にスルーですか? しかもそれどころか不機嫌そうに眉根まで寄せて私を虫を見――


「――奴の目を……み、見るな!」

「ん?」


 なんかパメラが後ろでいってるけど、目って――うわ、ほんとだ! 今さら気づいたけど、この女の人、目玉が真っ黒だ!? 怖っ!!


「おかしい……こんなこと、今まで一度も……」

「ふぇ?」


 スコープ越しに目と目が合って少しすると、なぜか女の人は焦りはじめた。なんか知らないけど、想定外のことがあったらしい。

 てか、なんかしようとした?

 もしかして、あの黒い目から光の矢でも飛ばそうとしたのかな?

 ま、どっちにしろ相手が動揺してる今がチャンスだ。

 喰らうがいい。

 モグラの精霊――モグエル。

 その、大地の(スルーされた)怒りを。



「――モグラウォール&アッパー!!」



 地面に手をついて目の前を壁で塞ぐ。

 同時に個人的な憂さ晴らしも実行。何10本も巨大な杭を出現させて連中のアジトを滅茶苦茶にしとく。天獄で暗黒土竜がやったほどではないけど、氷でできた広間は一瞬で見る影もなくなった。ダンジョンの状態回復作用が働いても、これなら当分のあいだは使用できないはずだ。


「ふぁっはっは、我が怒り思い知ったかー!!」


 少し気が晴れたとこで、私はパメラの傍まで駆け寄った。そのまま助け起こして肩を貸す。


「大丈夫、パメラ!?」

「お前……な、なんで……」


 よかった。近くで見る限りやっぱケガはしてないみたい。でも、顔色がものすごく悪いのが気になるね。毒とか呪いを受けたとかそういう可能性もあるし、とにかく説明は後回しだ。


「作戦完了、帰還するよ!」


 ツイてるんだかツイてないんだか墜落スタートというハプニングはあったけど、結果は上々の上々。上手くいった。


「さっきの場所までお願い!!」


 近くで様子を見てるであろうサリエルに呼びかける。



 ――ドウ”ゥ~~~ン。



 次の瞬間また例の異音が響いて、私たちは無事地下1階層に戻った。


 次話も遅れる……かもです<(_ _)>


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