第陸話 全員参加の任務
主人公のいる暗殺部隊の皆様は殺し屋です、迷いは殆ど御座いません
いつも通り暗殺部隊の彼等は、いつも通りに訓練に励んでいた。
そんな時に再び依頼が入る、そう、連絡員がやって来たのだ。
「全員揃っているか?」
無論全員揃っている。
「仕事か……?」
「その通りだ、ラセツ、察しがいい」
「何?何?
任務?どんなの来るの?」
「東郷、話は最後まで聞け……」
全員が静まり帰った後連絡員は口を開いた。
「今回の任務は全員が出てくれないとダメだ」
「連絡員……冗談はよす」
「天宮、残念だが冗談ではない、そして依頼人はボスだ……実は山田組の部隊の囮のアジトが襲撃に遭ってな……
見張り番の何名かは膝に攻撃されて戦闘不能だそうだ……」
「膝か?」
「その通りだ鬼流院、膝が壊れれば普通人は歩くことが儘ならなくなるからな……
矢で射ぬかれたのだろう……
偶然だが犯人は集団でここに向かっている、奴等を狩れ、それが任務だ……」
彼等に敵が向かっている、だが、彼等は落ち着いていた、約一人を除いて
「(あわわわわ、どうしよう、殺されるかも!?
嫌だ、死にたくない!)」
イヅナだけが相当動揺していた。
彼女は死ぬ覚悟が出来ていないからだ、そのままではイヅナは死ぬ恐れがある、この任務で成長出来るのだろうか?
まあそれは置いておいて連絡員はこう言った
「すぐにでも出発したまえ……以上だ」
彼はその場から去っていった。
「出発する……
奴等は恐らく……
バラバラに来るだろうな……」
ラセツは日本刀を持ち、一人で出た。
「ユズ、頼みがある……」
「カズマ御兄ちゃん……何?」
「この任務中、牙円に着いてやってくれ……」
「……分かった、イヅナ……行こう」
「は、はい!」
イヅナとユズは二人で組み出ていった。間違いなく出発したのだろう。
「さて……東郷……石上……相樂……
お前らはどうする?」
カズマは聞いた
「俺は、南側に行くぜ?
あいつら北と西に向かったみたいだからな」
ハルトの答えだ
「じゃあ、私は一番景色が見える塔に行く!
異論は無いね?」
「確かに、東郷の古代兵器と腕なら……そこが一番だろう……」
「ウチはここで待つ」
「料理担当の相樂は……
確かにここに居た方が良いだろうな……
なら……俺は開いた東側へ行こう……」
彼等はそれぞれの方に散らばった。
カズマは出発前に単独で連絡員に接触を図っていた。
「どうした……鬼流院」
「少し頼みがある……」
彼は、ある日ある時にあるものを自分に渡すように連絡員に頼んだ、そして出発した。
彼等暗殺部隊のアジトは、兵庫の山の中に構えているため、目立たない、だが料理や風呂などの設備が整っており、敵からの迎撃も可能な場所に建っている。
よって彼等は迎撃体制に入り、今、敵襲を返り討ちにする体制なのだ。
そして、敵の集団は、夜、やって来た!
まずは西側の様子からうかがってみよう……
西側には武装した男が十人がかりでラセツに行く手を阻まれていた。
「ケッ、俺ら集団に一人で挑むたぁ嘗められたもんだな!」
「……………………喋る暇があるなら来い……」
「上等だァ!」
男達集団の一部は一斉に銃を構えラセツに発砲したり、何人かは鈍器で殴りかかった、ここで彼等はラセツの強さを思い知る事になる。
「……甘いな…………」
一瞬、ほんの一瞬の動きだった、ラセツに向かって飛んできた弾丸は彼の刀によって全て切り落とされ、そして鈍器によるラセツへの攻撃も防がれていた。
「何!?」
男の一人は動揺していた、そして集団はさらに驚く事になる、何と、ラセツに鈍器で攻撃した連中は全員、綺麗に腰が折れたのだ。
「バカな……
一瞬で全ての攻撃を防御出来てもその瞬間に攻撃出来るはずがない、古代兵器でもない限り!!」
「……残り四人」
残り四人の内の男の一人は戦意を失い逃げていく。
実はラセツの日本刀は古代兵器の一つである、その刀の名前は「呪刀草剪」
刀その物に大量の呪術が施されており、刀が受ける筈のダメージを、与える起因となった者へと返す代物だ、つまり、折れる程の衝撃を受けても攻撃した者へと返っていく為に刀は傷付かないのである。
「……素人が俺を殺したければ最低一万人で来い……」
ラセツは敵に向かって言うと、残った三人は逆上した。
「チクショオオオオ!」
「ふざけんなぁああ!」
「うおおおお!」
一斉にラセツに向かってナイフで襲い掛かる、だが三対一だ、男達に勝ち目など無かった。
「……」
ラセツは無言で全員を切り殺した後、刀を鞘にしまった。
ラセツの武器は攻防一体