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第伍話 血の繋がっていない親子

イヅナが山田組に入って二日が経った、彼等暗殺部隊には基本的に仕事はない、よって、彼等は仕事の報酬のみを上納金として、山田組幹部に納められる事になる。

彼等の普段の生活は任務の為に日々自主トレにも近い形で訓練に励むのだ。

狩りや筋トレなどの方法で彼等は訓練を行っている。

そんな中ユズとカズマは狩りに出ていた。

「カズマ御兄ちゃん……

あっさりすぎるよ?」

ユズの周りには巨大な蟻の群の一匹一匹が真っ二つになっていた、全てユズ1人で狩ってしまったため、カズマの出番がないのであった。

「……見事だな、あっという間にユズは普段と違う狩りの環境に適応出来ている……(普段の暗殺任務という環境だけでなく……

狩りも一流……

何れは俺を越える日が来るだろうな……)」

彼はユズを撫でた。

「……」

無口のまま微笑むユズ

カズマはユズの教育係ではあるが、彼女に対しては愛情を注いでいた、まるで自らの娘のように、逆にユズの方もカズマの事が大好きだった、それは恋愛の対象ではなく、育ての親としてではあるが、彼等の絆は深く、時折共に任務に向かう事もある。

それくらい仲が良いのだ。

「ねぇ……カズマ御兄ちゃん?

これ、どうするの?」

蟻の死体を見てユズは言う。

「そうだな……

一匹だけ持って帰るとしよう……

後は、相樂に調理してもらう事にする……」

「うん……分かった」

「どういう風に調理されるのか……楽しみか?」

「うん……楽しみ」

「それなら……帰るか?」

カズマの言葉にユズは頷き、二人は帰ろうとしたその時だった。

「あっ…」

ユズが転んだ、ユズが地面に生えていたツタにつまずいた故にこの結果に及んだ。

「立てるか……?」

カズマはゆっくり手を差し伸べる。

「無理……かも」

ユズの言葉に対してカズマはゆっくり腰を下ろした。

「……乗るか?」

カズマの姿勢は所謂おんぶの姿勢である。

ユズは素直に頷きカズマの背に乗った。

カズマの容姿は中二とは思えないほど凛々しく、どこかかっこいい大人の男のような雰囲気を出している為か、端からみれば誘拐事案に見えなくもない。

しかしユズはどこか幸せそうに笑っていた、やはりカズマの側にいる事でユズは安らげるのだろう。そのままユズは昼寝に入り、カズマは巨大な蟻を開いた手で引きずって持ち帰った。

「(もうじきユズは誕生日を迎えるな……

今度何か買ってやるとしよう……

そうだな……ユズが大好きなアニメの玩具の辺りが良いだろうか?)」

彼は今はユズの事を考えながらアジトに戻っていった。




二人は何事もなくアジトに戻ってきた。

「相樂……コイツを調理してくれ……」

「ハァ!?

お前いきなし何言ってるんだい?

まぁ、試してみない事も無いけどさ?」

イスズはかなり焦っていた、料理担当でもあるが、この蟻は調理したことがないらしいのだ。

結論から言えば、彼女はそれを丸焼きにしてしまう。

しかし彼女は美味しい部分を知らない、そのため全身を焼いたのだ。

そしてカズマとユズは味見することになった。

「……喰えと?」

「当たり前だ!

ウチに料理を押し付けたんだ!

味見くらいやれ!」

「イスズの意地悪……」

「ユズ、お前がそれを言ってもウチはお前に食わせるぞ!

コイツを狩ったのお前だろう?」

「むぅ……」

カズマは巨大蟻の腹を、ユズは巨大蟻の胸を味見してみた、結果

「……」

カズマは無言でトイレに駆け込んだ。

「イスズ……人が食べる物じゃない」

ユズは直ぐに吐き出していた。

「そうか?

ならウチが喰ってみるよ」

イスズは頭の部分を味見した。

「嘘つくなよな?

上手いじゃんか」

イスズはユズの言葉を疑っていた、何故ならこの蟻、実は足の部分と頭が美味しい部分なのだから……

「じゃあ、イスズ……ここ、食べる」

ユズがそう言うと彼女は胸の部分をちぎり、イスズに強引に食わせた。

「っ!!!!!!!!!!!!!?????????

まっじぃぃぃ!!!?」

イスズが急いでトイレに駆け込むが

「悪いがここは満員だ……

入れないぞ?

ゲロゲロゲロゲロ……」

中で腹部の不味さを痛感したカズマが吐いていた、故にイスズは

「あ"げでぇ"ぇ"ぇ"え"え"え"!」

と、悲鳴を上げる事になってしまった。

そしてその場で彼女は吐いてしまい……暫くの間考えるのを止めた。

天宮ユズという女の子は鬼流院カズマの事が大好きなのです。

因みにカズマの年齢は14です

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