表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

波の下からこんにちは

作者: 水無月水有

波の上で、人間のことを少し学んだ。


沈みゆく船から、気まぐれに救い上げた人。


宝物の石像によく似た人。


十五になったその夜に、私の心を奪った人。


物知りな魚達曰く、「王子様」と呼ばれる人なのだそう。


そして、その人に私はどうやら「恋」とやらをしてしまったらしい。


確かに最近変に胸が高鳴ることが多い。


人間にはよく起こることで、止めようがないのだと彼らはいう。


これが恋ならば、人間達はさぞや苦労しているのだろう。



今日、私はまた一つ人間のことを学んだ。


叶わぬ想い。


あれ以来、こっそり夜中に浅瀬に泳いでいくことが増えた。


王子様はしばしばお城の近くの浜辺を散歩している。


それを眺めるのが楽しみだった。


しかし、最近様子が変わった。


彼の隣に寄り添う若い娘。


「助けてくれてありがとう」


囁く王子様。


それは違うだろう。


初めて泣いた。



また一つ、人間のことを学んだ。


愚かな生き物。


魚達の噂話を聞いた。


王子様は「結婚」とやらをするそうだ。


推測するに、想いが叶った印ということだろうか。


あの夜のように、船が波の底に暗い影を落とす


私は久々に海の上に上がった。


船の上からは楽しい祝福の音楽が聞こえる。


私もそれに合わせて歌を歌ってみた。


強まる風に乗って、この歌が届いたらいいな。




大好きな王子様。


どうやらあの女とはうまくいかなかったみたい。


私の元に来てくれた。


これからは、ずっといっしょにいられるね。




































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ