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大根さん

作者: 羽鳥 たつき

私は大根だ。

わけあって歩いています。

ほら、大根が歩いてるのって他の生物からみても怪しまれるね。

犬がこっちを見ている。

歩いてる大根食べて美味しいと思うか?

私が犬ならそうは思わない。

だって気持ち悪いだろ?


私は普通に大根として育った。

もうそろそろしたら収穫される時期だった。

そんな時に私は歩けるようになったのだ。


私は大根だ。

でも、普通の大根ではない。

歩ける大根だ。

歩けるだけじゃなくてスキップだってできる。

きっと、あの犬よりも速く走れる。

しかし、私は摩擦に弱い。

私は少しの摩擦力で大根おろしになってしまう。

私の夢は大根おろしではなく、おでんの具の大根だ。

おでんは私をもっとも美味しく食べる方法だと私は思っている。

だが、歩く大根のおでんはおいしいのだろうか?

そんなことはどうでもよい。

とにかく私はおでんの大根になりたい。

だから私はおでんの屋台を探している。

しかし、この周りは何もないな。

犬しかいないのか?

そして、なぜこの犬はこんなところにいるのか?

ん、何か書いてあるな

『この犬の名前はロイヤー、男の子です。どうぞ、拾って下さい。』

ああ、こいつは捨てられたのか。

こいつの名はロイヤーって言うのか。

変わった名前だな。

ポチとかじゃないんだな。

ロイヤーか。

人間というのは勝手なものだな。

一度ロイヤーの気持ちになって見るべきだ。

今まで愛されてきたと思ってたのに捨てられるという気持ちを。

しかし、私ではロイヤーを助けてやることはできない。

なぜなら私は大根だからだ。

大根の私ではロイヤーを飼うことはできない。

私は無力なのだ。

私にできることはロイヤーのそばにいてやることだ。

おでん屋探しの旅はロイヤーの飼い主がみつかってからでもよいだろう。

ロイヤーよ、私がお前のそばにいてやろう。

だから寂しくはないだろ。


ロイヤーはいいやつだ。

私を食べようとしない。

まあ、歩く大根である私のことを食べようと思う生物はなかなかいないのかもしれないが。

ロイヤーはいいやつだ。

私がロイヤーに話しかけると

ワン!

と、返してくれる。

何を言っているのか私はわからないがロイヤーには私の言葉がわかっているようだ。

ロイヤーとはそんなやつだ。

ロイヤーと一緒にいるのはなかなか楽しかった。

しかし、ロイヤーを拾ってくれる人はなかなか現れなかった。

ロイヤーはどんどん痩せていった。

水は雨水があったが、食べ物はロイヤーを捨てたやつが置いて行った少しのエサしかなかった。

ロイヤーはろくに食べ物を食べれていない状態だった。

私はそんな痩せていくロイヤーを見ていることしかできなかった。

そして、ロイヤーは4本足で立つ力すらなくなった。

私はロイヤーを助けたいロイヤーに食べ物を食べさせてやりたい。

私は大根だ。

私は覚悟を決め、私は壁に自分の頭を擦り付けた。

私はどんどんおろされていった。

ロイヤー、お前に食べ物を食べさせてやるからな!

私は壁に自分を擦り付けた。

そして、私は大根おろしになった。

ロイヤー、私を食べろ。生きるために私を食べろ。

ロイヤーは私の言葉を聞かなかった。

ロイヤー、私を食べるんだ。

ロイヤーは私の言葉を無視した。

私はおろされたからだで自ら動いた。

私はおろされた状態でも動けたのだ。

私はロイヤーの口の中に入り私はロイヤーに言った。

私は大根だ。食べ物だ。ロイヤー、私を食べて生き残れ。ロイヤー、今までありがとう。楽しかった。


私は大根。

もっとも美味しく食べられるのが夢だ。

それがかなった私は幸せだった。





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