クリーム色の愛
クリーム色の壁がいい。
同棲をしようと言った明の部屋選びの条件はそれだった。
別に壁の色に興味なんてなかったけど、なるほど。
1年間住むと壁の色の重要性というものがわかってきた。
クリーム色の壁の寝室は、白と違い朝の光を反射させず優しく受けとめる。
そのおかげで部屋全体が優しい光でいっぱいになるのだ。
朝起きて隣を見ると、私の大好きな明の寝顔は優しい光を受けて淡く輝く。
そんな彼の、小さな子供みたいな寝顔を見ながら頭を撫でるのはたまらなく幸せだ。
おかげで私の1日の始まりは毎日とても充実している。
「ん。りほ?」
今日もいつも通り明の寝顔を見ながら頭を撫でていると、くりっとした大きな目が半分開いた。
「おはよう、明。」
「おはよう。」
猫みたいなあくびをひとつすると私に小さくキスをする。
「なぁ、りほ。」
「ん?」
「結婚しよ。」
クリーム色の壁は今日も朝日を優しく受け入れる。
淡い光の中で、少しいつもとは違う1日の始まり。