なぜか、俺の回復魔法だけ「ウ○コ色」なのだが……
多田 笑と申します。
短い上に、下品で申し訳ありません。
少しでも、笑ってもらえたら嬉しいです。
ここは、王立トゥアレッタ魔法学院
様々な魔法が研究され、数多くの魔導師見習いが学ぶ場所だ。
この世界では10歳になると、将来就くジョブについて、適性を調べる。その結果、俺には「ヒーラー」の適性があることが分かった。
12歳になった俺は、生まれ故郷を離れ、王立トゥアレッタ魔法学院に入学した。
毎日、回復魔法について学び、呪文を使う訓練をした。その結果、俺は初級回復魔法「ヒール」を使えるようになった。みんなが数ヶ月でマスターするところ、俺は1年以上かかった。しかし、俺は皆に一目を置かれていた……。
なぜなら、俺の「ヒール」は「ウ○コ色」だったからだ……。一般的に、回復魔法は緑色のイメージがあるだろう……。しかし、俺のヒールは薄い茶色のような……くすんだ黄色のような色をしていた。明らかに基本の12色に含まれていない色…… 便器の中で目にするような色だった。
色はおかしいが、普通の「ヒール」と同じように回復できる。性能としては問題ないのだが、色だけがおかしい……。
あるとき、俺はケガをした友人を「ヒール」で回復したことがあった。
「あ、ありがとう……。変な色だけど回復量は問題ないんだね……」
友人はそう言ったが、なぜか鼻をつまんでいた……。
(臭くないって!! なんで? 回復してあげたのに、その仕打ちはひどくない……!?)
俺はそんなことを思ったが、色というのは五感に大きな影響を与えるのだろう……とも考えていた。
その後も、俺は日々の訓練に励んだが、どうしても色が気になってしまい集中できずにいた。だから、俺の指導を担当している先生に相談した。
「先生…… なぜ、俺の『ヒール』だけ、皆と色が違うのでしょうか?」
「そうだね…… 君は皆と違う色だと嫌かい? 僕は、『ヒール』の発する色が君達1人1人の個性を表していると思うんだよ。僕は、その個性を大切にして欲しいと、常々、考えている」
「しかし……『ヒール』の性能に問題がないとは言え、こんな色では……『本当に回復しているの? 毒でも盛られているんじゃない?』と思われてしまいます」
「フフ…… 素敵な色じゃないか……。君のことをよく表している色だよ」
(え…… ちょっと待って…… 先生から見た俺って、こんな色なの!? 先生は俺のこと『ウ○コ』だと思ってたの? )
「君は、こんな話を知っているかい?」
先生は、そう言って例え話を始めた。
「例えば、君が健康的な食生活を送っていたとする……。すると…… 毎朝、素敵な『天使の色』に出会える。しかし、欲望のままに暴飲暴食をした翌朝は、希望に満ちた1日の始まりを打ち砕く『悪魔の色』に出会うだろう……」
(……やっぱり、ウ○コやん!! 『天使』とか『悪魔』とか出てきたけど、例えがウ○コの話じゃん!!)
俺がそんなことを考えていると、先生は鼻をつまみながら言った。
「さあ、君の素敵なウ……じゃなかった……『ヒール』を見せてごらん」
(見せられるか!! やっぱり、ウ○コだと思ってたんじゃん…… そんな人に、俺の『ヒール』を見せられるか!)
「どうした…… 昨日は食べ過ぎたのか? もしかして、みんなと同じ色にしたいからって、緑色の野菜ばっかり食べたとか?」
先生が言った。
(いや、だから…… ウ○コじゃないって……)
それから、5年後……
俺は、とあるパーティーにヒーラーとして加わっていた。そして、ダンジョンの奥でボスモンスターと戦闘していた。
「く、鋼鉄の鎧でもやつの攻撃を防ぐことができなかった……。ダメージが大きい。一旦、回復を頼む」
戦士がそう言うと、俺はヒールを唱え彼の傷を癒した。
戦士は治療を終えると、仲間達のサポートもあり、無事にボスモンスターを撃破した。
「お前の『ヒール』のおかげで助かったよ。あの緑色の光があるから、『回復した』っていう感じがするんだよな」
そう…… 今の俺のヒールは、緑色の光を放っている。
なぜなら、今の俺は葉物野菜しか食べていないからだ。
(やっぱり…… 俺のヒールって、『ウ○コ』の色なのかな……)
色って大事ですね……。