第77話 不仲の婚約者
ギャルゲーマスターの僕ですら、ユリアラ王女の心の扉を開く事が出来なかった。まるでそれは、プリストのヒロインとアレク王子のやり取りを見ているようだ。確かにプリストはクリアー出来なかった。あれは乙女ゲームであって、ギャルゲーではない。僕の専門外だ。しかし、今回のユリアラ王女は高難度のギャルゲーだ!
ユリアラ王女が難攻不落のラスボスアレク王子と重なる。チョロイン達とは違い、ガチの難攻不落ユリアラ王女に僕は挑もうとしている。
「ギャルゲーマスターの名にかけて、攻略して見せる!」
その意気込みに反して、僕の連敗は続く。プレゼントを贈っても顔色を変えない。お忍びデートを誘っても、おもむろに怪訝な顔をされて断わられる。話しかけても『お前に声を掛けられるだけで虫酸が走る』という顔をされて会話も続かない……
さすがのギャルゲーマスターでも心が折れる。
放課後、教室で一人呆けていると、
「アレク様、最近様子が変ですよ」
マリアが僕を心配してか話しかけてきた。
「そ、そうかな?」
僕が何気ない返事をすると、
「ユリアラ王女のサポートが上手く言って無いのですか? 何かあれば私達が相談に乗りますよ」
ルナールも心配そうに尋ねてきた。
「まあ、上手く行っているとは言えないけど、僕に与えられた使命だからね。心配してくれてありがとう」
「いえ、そんなぁ。私達はアレク様の役に立ちたのです」
ルナールは力強く言い切った。
「アレク様もあまり無理をしないで下さいね。アレク様はこの国にとって大事なお方なんですから」
フローラも僕の事を心配してくれてるようだ。
「無理はしてないから大丈夫……」
笑顔を振り撒きながら返事を返したが、
「アレク元気がない。私、心配……」
クリスにも僕の苦悩が伝わっているのか? もし、そうだとしたら僕は末期症状が出ているかもしれない……
「元気がない? 僕ならいつでもどこでも元気だよ」
それでも強がりを言ってしまう僕は、自分自身が情けなく感じてしまう……
「顔と頭が悪るそうよ」
「それを言うなら顔色が悪いでしょ。 それと、頭の中身は…… まぁ、お察しだけど。ミレーユったら、まったくもう~」
「……………………」
ミレーユが周囲の空気をブチ壊し、メアリーがミレーユにツッコミを入れる。しかも、あのメアリーが言い直すだと!
――なんだろう…… 空気を読めないって、ある意味スゲェーな。
「そうかい? 顔色悪いかな?」
気が付かないうちに僕は精神的に追い詰められていたのだろうか……
「かなり悪いです。何かあったら本当に相談してくださいね。私達はいつでも相談に乗ってあげるから」
メアリー達は本当に心配してくれているのだろう。
「ありがとう。その時は相談させてもらうよ。じゃあ、今からユリアラ王女の所に行ってくるよ」
僕はそう言ってユリアラ王女のところへ向かった。
ユリアラ王女の教室へ向かうと、すでにその姿はなく数人の女子生徒がいるだけだった。
「すまないが。ユリアラ王女はいるかな?」
「ユリアラ様は、もう侍女を連れて下校されましたよ」
「えっ!? そ、そうか。教えてくれて、ありがとう」
僕はそう言って、自分の教室に戻った。
登下校は僕が護衛役をしているのだが、それを無視して帰るとは…… 嫌われているとは思っていたが、ここまで嫌われているとは……
ユリアラ王女のすでに下校したとあっては、この場所に留まる理由はない。
「しょうがない。もう帰ろう」
独り言を残し、教室をあとにした。
王宮に戻り、極秘に父上と母上に謁見を申し出た。
父上達と会談で、ユリアラ王女について相談をさせてもらったが、
「そうか…… 彼女には彼女なりの気持ちもあるだろう。それにまだ、三ヶ月しか経っていない、もう少しユリアラ王女の様子を見ようじゃないか」
「そうよアレク。まだ、こちらの生活に慣れてないだけだと思うわよ。あなたもユリアラ王女を支えてあげないとダメよ」
父上と母上はもう少し様子をみるように諭され、打つ手が無くなってしまった。親に頼ろうとしていたこと事態が間違っていたのだろうか。
とにかく、自分でやれるところまではやってみよう。いつかきっとユリアラ王女に僕の誠意が伝わると信じて……
◇
―― 半年後 ――
ユリアラ王女と関係は何も変わらなかった。最低限の会話のみというギャルゲーマスターの風上にも置けないほど、体たらくを晒していた。
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