第62話 天使の羽根と小悪魔の羽根
早速、シン・ジャージ製作に取りかかった。
「なあ、ちょっと見てくれよ」
「一体どうしたんだ?」
ここは頼りになるルブランに死体安置所から持ち出したデザイン画を見せた。
「ルブラン。これを見てどお思う?」
「普通のオシャレなジャージじゃないか」
やさぐれているのか、ルブランはボケをかまして来なかった。そして、僕は答える。
「メアリーの話だと機動性重視のデザインらしいんだが、シンプル過ぎないかと思うんだが?」
「うん、確かにシンプルと言えばシンプルなデザインではあるな」
ルブランは僕の話を聞いて頷いていた。
「そうだろ。折角、可愛い娘達が着るんだから、もっとファンシー的にしても良いんじゃないか?」
――ファンクラブのヤツらは性格は兎も角、可愛い娘が多いのも事実だ。本当に可愛い娘が多い。性格がアレだけで…… これ以上は言うまい。
「ファンシー的にか? 具体的にどうするんだ?」
ルブランは何か思うところがあったのだろうか、僕の話に食い付いてきた。
「メアリーの機動性重視の発想を生かして、背中に小さな天使の羽根を付けてみたらどうかと考えている」
「――!? 何で天使の羽根なんだ?」
ルブランは僕の崇高で至高な天使の羽根が理解出来ないとは情けない…… 天使の羽根がどれだけ凄いかみんなに語ってやろう。
「すまないがみんな集まってもらえるか」
「「「……………………」」」
サンペータ、マリック、ドールは僕の理不尽極まりない行いに、ストライキでもしているように部屋の片隅で3人仲良く体育座りをしていた。
「みんな集まってもらえるか?」
「「「……………………」」」
3人はノロノロとヤル気の無さそうに僕の傍までやって来た。
「では、今からシン・ジャージ史上最強のオプションである天使の羽根について説明したいと思う」
「「「……………………」」」
『オホン』
黙り込むみんなの前で僕は咳払いをし、説明を始める。
「では、シン・ジャージに足りない物は何かを考えた時、更なる機動性とファンシーさが足りない事に気が付いたんだ。しかし、彼女達が考えたデザインを変えたのであっては、彼女達の努力を無駄にしてしまう。では、どうする? 熟慮の結果、取り外しの出来る追加オプションにすれば、問題は解決出来るのではと考えたのだ。そして、考えた結果、追加オプションは小さな天使の羽根にすれば良いとなったのだ!!」
「アレク…… 意味がわからんのだが……」
ルブランはまだ僕の考えを理解出来ないようだ。
「しょうがない。ドール、背中を僕の方に向けてくれ」
ドールは嫌々ながら僕に背中を向けた。僕は収納魔法から純白の布で出来た小さな羽根を出した。小さなぬいぐるみみたいな物だと考えてもらえたら分かりやすいと思う。
「じゃあ、見てろよ」
僕はそう言って、ドールの肩甲骨の辺りに天使の羽根を取り付けた。
「どうだ? この可愛さ。天使の羽根を装着すれば、通常の3倍は機動性が上がると考えている。そして、最大の特徴はこの可愛いさだ! 機動性とファンシーさを兼ね備えた究極のアイテムと言って良いだろう」
「「「……………………」」」
――みんな無言だった。きっとあまりの究極アイテムに口が聞けなくなったのだろう……
「まあ、確かにファンシーさは出ていると思うが……」
最初に口を開いたのはドールだった。
「ドール、何か意見があるのか? 遠慮なく言ってくれ」
僕がドールに意見を求めると、ドールは難しい顔をしながら、
「純白だけじゃなくて、黒もあった方が良いんじゃないか?」
それは、僕も考えが及びもしない貴重な意見だった。
「確かにルナール、フローラならまだしもマリアやクリス、ミレーユなら黒の方が似合ってるかもな…… 天使と小悪魔かぁ…… 特に中二病のクリスなら片方の羽根がボロボロになってる方が喜びそうだな」
僕は率直な意見を言った。そう思うのは自然の成り行きだと感じた。
「みんなはドールの意見をどう思う? 率直な意見を言ってくれ」
「ん~、俺もアイツらには純白よりは真っ黒の方がお似合いだ」
ルブランはヤツらの腹黒さを表現して見せたいのだろう。
「そうだなぁ~、アレクの話だとファンクラブのヤツらはまともな思考を持っているとは思えないから純白を止めて、全部黒でも良いと思うが」
サンペータは天使の羽根を止めて、小悪魔の羽根にして、ファンクラブを悪の組織にしたいらしい……
「俺はファンクラブの中にも一人くらいはまともなヤツがいると信じたい。純白と黒の両方を準備してヤツらに選ばせるのはどうだろうか?」
マリックの言う意見はまともな提案だった。しかし、あの中にまともなヤツがいる可能性は非常に低いと感じる。本当に一人いるかどうかの確率だろう……
「そうかぁ~、みんな意見を出してくれてありがとう。とりあえずは純白と真っ黒の両方全員分を作って、アイツらに選ばせよう。クリスには特別に片方の羽根がボロボロになった物をあげるとしよう。これでみんなは良いか?」
「賛成だ」
「俺はそれで良い」
「うん、それで構わない」
「ヤツらの機動力を3倍にしてやろうぜ!」
「じゃあ、早速作業開始だ!」
「「「オオッー!」」」
みんながヤル気になっているところに、サンペータが水を差した。
「アレク、さっきからヤツらのこと呼び捨てになってるよな?」
「「「――!?」」」
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