第58話 最終局面へ
大量殺人現場にでも立ち会っているかのように三人の屍体が転がっている…… カオス。
順当に残った6人。話しの展開としては、王道ではないかと感じる。それでも醜い女の戦いは続くのである。
敗者の6人は『なぜ勝てぬ、こんなヤツらに自分が負けるはずはないのに! どうしてなんだ!』とでも言いたげな表情を浮かばせながら拳を強く握っている。
「ジャンケン ポイ」
「よっしゃあ!! ウィィィィィ!!」
一発勝負で勝敗が決まった。 勝者は……
ルナール嬢だった。 ――喜び方が公爵令嬢とは思えない品性の欠片もない喜び方だった。それほどルナール嬢は嬉しかったのだろう…… ルナール、の意外な一面を見たような気がした。
「アレク様……」
ルナール嬢は目をウルウルさせながら僕の目を見ていた。正直に言えば、今までこんなに経験をしたことがなかっかせいか、非常にテレる……
「ル、ル、ルナール……」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーー!! マジでキタァァァァァァァ!!!! ガチで萌えるわ!! 堪らな……」
『バタン』
ルナールは歓喜と共にぶっ倒れてしまった。
「お、おい しっかりしろ!」
「……………………」
返事がない。屍のようだ……
「もう! どうなってるのよ! なんで勝てないのよ!」
マリア嬢も脳がやられてしまったのか、怒りを露わにした。
「それは、マリアちゃんがギャルビッチだからじゃないの?」
「「「……………………」」」
さ、さすが、空間ごと悉く破壊するデストロイヤーの何気ない一言の破壊力!
「私はギャルビッチじゃない! 男の人と付き合ったこともないし! 私は本当にギャルビッチじゃない! アレク様、貴方だけなの信じて!! 私には貴方しかいないの!」
必要以上に僕にすがり付くマリア嬢。なぜだか、不倫がバレのうえ、離婚され、挙句の果てに再構築希望の為になりふり構わずに元旦那にすがり付く汚嫁を想像してしまった。
――こんなところで修羅場に遭遇してしまうとは……
僕の足元にすがり付くマリア嬢。周りから見ると、どこからどう見ても修羅場にしか見えない。
「わ、わかったから手を離して」
「ホント!?」
マリア嬢は僕の言葉に安堵したのか、絶望に堕ちた顔が明るい表情に変わった。
「ホントに私を信じてくれるのね?」
「し、信じるから手を離して」
「嬉しいわ♡」
ゲスな汚嫁にまんまと騙されて、有耶無耶に再構築を決断した元旦那の気持ちになってしまった…… マリア嬢恐るべし!
「茶番はもう良いかしら? じゃあ、ジャンケンを始めるわよ」
僕達のやり取りを冷やかな目で茶番劇と断罪したメアリー嬢。ヤツが何を考えているかわからん。
「ジャンケン ポイ」
先ほどのジャンケンとは違い、参加者の気合いが入りまくりなのかなかなか勝負がつかない。
――正直、帰りたい。
「オッシィ!! ヤァーー!!」
変な雄叫びを上げ、勝利宣言をしたのは、フローラ嬢だった。普段とは違う、お姉様も素敵……
「カモォーーン! カァアモォーーン!!」
なんなの? そのノリは……
「フローラァ♡」
僕は愛情のこもったイケメン目とイケメン声で、フローラ嬢を呼び捨てで呼んでみた。 ――!? なんで愛情を込める? まさか魅了の仕業か? ヤベェ…… 危うく魅了に殺られるところだった。
「ファァァァァァん! すごーく良いわ~ 身体がゾクゾクしちゃう♡」
『バタン』
フローラは身体をモジモジさせ悶えながら、コントのように倒れてしまった。これ以上、魅了に殺られてしまったら、もう後戻り出来なくなってしまうところだった。フローラはこのまま死んでもらおう。
残るは4人となった。ホントに狙ったかのようにヤベェヤツしか残ってネェ。
「さぁ、やるわよ」
気合いの入ったマリア嬢が殺る気に十分のようで、右腕をブンブン振り回した。
「ジャンケン ポイ」
やり直しを5回繰り返し勝負がついた。
「邪神眼世界最強ォォォオ!! 我に敵無し!! 漆黒の魔竜デモンドキル・フューエルの生け贄になるのだ!」
こんなところでヤベェヤツが勝つとは…… コイツだけは呼び捨てにしたくない。僕に残された道は心を殺す事しかないのか……
「クリス(棒読み)」
「うおおおおおお!! 血が滾る!!」
『バタン』
クリスは泡を吹いて、ぶっ倒れてしまった。
悪は滅び、ふたたび世界に平和がおとずれた…… END
大作RPGのエンディングを見ているような感覚に陥ってしまった。そして、あまりの感動で『パチパチ パチパチ』と心の中で拍手を送ってしまった。
残るは3人となった。いよいよ最終局面を向かえる。
「ついに来たわね。この時が」
マリア嬢はメアリー嬢に宣戦布告をする。それに対してメアリー嬢は、
「フフフ、そうね。私にジャンケンで勝とうだなんて100万年早いわよ」
「私はグーで勝つ!」
マリア嬢はメアリー嬢に自らの手の内を明かした。メアリー嬢の動揺を誘い、自滅させる作戦なのだろう。
「じゃあ、私はパーで完璧な勝利を確信しているわ」
メアリー嬢もマリア嬢に負けず煽り返した。マリア嬢を動揺させ、それに生じる疑念によって自滅させようとしていた。二人の駆け引きがどう出るか、目が離せない女の戦いが始まる……
しかし、二人は忘れている。まだ、この世界の最終ウェポンである。静かなるデストロイヤーが残っていることを……
「「ジャンケン ポイ」」
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