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第56話 罵倒と萌え

混沌の世界に迷い混んでしまった僕は、身の危険を感じながら教室の中へと入った。


「アレク様、どうぞこちらへ」


ルナール嬢は僕に席に座るように案内をしてくれた。


「申し訳ない。ここで良いのかい?」


マリア嬢とフローラ嬢の間に挟まれるように座った。


机を挟んで正面にはメアリー嬢とルナール嬢が座り、その後ろにはモブ女子が座る。僕のすぐ後ろにはミレーユ嬢とクリスが座った。


もしや、鶴翼の陣からの釣り野伏の陣。これで完全に僕の退路を封じ込まれてしまったと言うわけか。進むのも地獄、退くのも地獄と言う状況に圧倒的なアウェイ感が僕を襲う。



「アレク様、どうぞこれを」


ルナール嬢が僕に一枚の紙を渡す。僕はその紙を受け取り、目を通した。


「これは!?」


シン・ジャージのデザインだった。短時間で良く出来たなというのが僕の感想だった。良く言えば個性的、悪く言えば…… 頭のネジがぶっ飛んでいる。そんなヤベェ連中を一つにまとめあげてしまう、将軍ルナール嬢と軍師メアリー嬢の統率と知力の高さに驚きだ。



「どうですか?」


ルナール嬢はシン・ジャージの感想を僕に求めてきた。


「ルナール嬢。申し訳ないが派手さが足りないと思う。もっとゴージャスにそして、エレガントにしても良いと思うのだが」


そう、シン・ジャージは普通のジャージだったのだ! 折角の異世界なのだからもっとド派手にぶっ飛んだジャージでも構わないと思うんだが。


「ハァ~? アレク様! あなたはジャージに何を求めてるんですか? たかが運動着ですよ! 運動着なら運動着らしくシンプルで尚且つ機動性に重点を置いた方が良いと思わないのですか!」


「――機動性?」


ぼくはメアリー嬢の言うところの機動性と言う単語が気になった。


「戦場で兵士が鎧を纏うように、我々学生はジャージを纏い如何なる戦闘に赴く! 戦場では機動力と情報が勝敗の要になることは常識じゃないですか! ゴージャスとエレガントで生死を分けた戦場で意味があると思ってたんですか!」


メアリー嬢はジャージの意味を説いた。その場にいた者は『うん うん』と頷いていた。


「――!? なんだって! ジャージが鎧と同じ…… 知らなかった…… 僕としたことが……」


僕はたかがジャージだと侮っていた。そんな意味合いがあったとは…… アレク・ガルラ・フラスター一生の不覚! 責任を取って腹を切るしか残された道はない!


しかし、ここには愛刀の短剣が無い。非常に残念でならない。


「分かって頂けましたか、アレク様」


メアリー嬢は優しい口調で、僕に念押しをしたのだった。


「すまない、メアリー嬢。ジャージの件は良く分かったよ」


僕はその場にいた者に素直に頭を下げた。


「アレク様! 頭を上げて下さい!」


ルナール嬢は慌てながら僕に頭を上げるよう促した。


「ありがとう。ルナール嬢」


頭を上げ、みんなにお礼を言うと、マリア嬢が怪訝な表情をしていた。


「アレク様」


マリア嬢が僕に声を掛けた。


「なに?」


「いつも私達の名前の最後に嬢を付けるじゃないですか、今度から私達の事を呼び捨てで呼んで下さい! もう他人じゃないんですから!」


「はぁい? 呼び捨てで?」


「そうです。今すぐ呼び捨てで呼んで下さい! とりあえず、私の名前を呼んで下さい。 カモォーン!」



――何でテメェーらを呼び捨てにしなきゃいけないんだ? 他人じゃないとか他の人が聞いたら、この『イケメン王子はハーレムを作ってウハウハしてやがるぞ。クズヤロー』とか言われるじゃネェーか! お前らとは最初から最後まで赤の他人だ!



()よぉ、言ってたモンせ」


マリア嬢。何でいきなり鹿児島弁に…… 


僕が呼び捨てに躊躇していると、


()よぉ言わんかいッ! グズグズしてんじゃネェーぞ! オンドリャー!」


シビレを切らしたマリア嬢から罵声が飛ぶ、さらに追い討ちをかけるように、


「いい加減にしネェーとブチ殺すぞ! あん? 早くアテェを呼び捨てで呼んでみやがれ!」


フローラ嬢か突然ブチギレ出した。いつもの温厚なお姉様とは違いギャップが凄すぎて、かえって萌えてしまう。さらに第三の矢が打ち込まれる。


「嫁の私を呼び捨てで呼ばないなんて、旦那がヘタレで夫婦生活の破綻よ! こっちはあなたの有責で離婚しても良いのよ」


婚約も結婚もしてないのに、クリス嬢から離婚を叩きつけられてしまった。ヘコむ僕に第四の矢が近付く、そして悪の根源デストロイヤーが囁く、


「早く言っちゃいなよ。早く楽になって、私達とハーレム作ろうぜ!」


ミレーユ嬢は親指を立てながらニッコリと笑う。さすが言うことが、ビッチ・ダ・ビッチのゲス発言。僕に恫喝が通用しないと見ると第五の矢でもあるルナール嬢は目をウルウルさせ上目使いで、


「アレク様、お願い♡」



――ヤバイぞ! これはヤバ過ぎる! ある程度の暴言なら耐えられるが、僕にリアルな萌えの耐性は無い! 二次元ならヨダレをながら喜ぶところだが、リアルはダメだ。リアルは…… 萌え死ぬ……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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