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第43話 献上の品

母上と父上に誠心誠意の態度を示すため、土下座で話をすることになった。


父上は静かな口調で、


「お前達の行いでこっちは大変だったんだぞ。休暇申請を思い留まらせるのに苦労したんだぞ」


「そうよ。辞表まで出そうとする者もいたのよ」


母上の口調が元に戻っており。この短時間で気持ちを切り替えるとは、さすが母上。伊達に王妃だけの事はある。そして、逆らってはいけないことを学んだ。


「そうなっていたとは知らず、本当に申し訳ありませんでした」


僕は再度深々と床に頭を擦り付けた。


「それで、メイド達はどうなったのですか?」


僕はその後どうなったか聞いてみた。


「まあ、最低限の人数はなんとか確保は出来た。しかし、その代償は大きかった」


父上は頭を抱えながら話した。


「1人あたま日給の3倍の特別手当ての他にカルビィ10人前でなんとか思い留まらせることが出来たのよ。ホント疲れたわ」


母上が溜め息混じりに呟いた。


「申し訳ありませんでした」


僕は母上に即行で土下寝の体勢で謝罪をした。


「アンタ何してんのよ!」


母上は僕の誠心誠意の態度が気に食わなかったのかキレ始めた。


「これが僕の誠心誠意の真摯な謝罪です!」


母上の誤解を解くために必死な形相で母上を見つめる。


「――追放されたいの? お望みなら追放してあげても良いのよ」


母上は呆れた顔でポツリと呟いた。


「追放だけは許してください。追放されたら僕は生きて行けません。本当に勘弁してください。どっかのモブ顔第三王子にはなりたくないです」


僕は号泣しながら追放を拒絶した。母上は僕の髪を掴み、


「フン わかれば良いのよ、わかれば。この顔しか取り柄のないキモポンコツが!」


母上は捨て台詞を言って、僕から手を離し、さらに毒を吐いた。


「それで、私に対しての賠償はどうする気かしら?」


「――!? 賠償? 賠償ですか?」


僕はまさか実母から賠償請求されるとは思ってもみなかった。


「何、当たり前の事を言ってんだ。オラッ どうすんだ? 払うのか払わないのかハッキリしやがれ! このボォケナスがぁぁぁぁ!」


母上の怒号が続き、僕もメンタルボロボロ状態になり、父上に助けてもらおうと父上を見上げると……



父上はニヤニヤと笑ってやがる。実の息子が実母から虐待を受けているのに、それを見て笑っているだと!? なんだ、この毒親達は?



父上は僕の目線に気が付いたのか、


「アレクよ。早く母に何か賠償するのだ。そうすれば母は許してくれるはずだ」


満面の笑みで、僕を説得してくる。なんと、これが実の父親の言動なのか!?


「さあ、出すもん出してもらおうか?」


「は、はい。少しお待ち下さい」


実の息子に脅迫してくる実の母親…… 僕は仕方がなく、1人でひっそりと楽しみにしていた極上カルビィ、極上サーロウインステーキ、ハラーミ、牛ロースゥを収納魔法から出し、母上に献上した。


「極上カルビィ、極上サーロウインステーキ、ハラーミ、牛ロースゥです。どうかお納めください」


「……………………」


父上は無言で僕から肉を奪い取った。


「まだ有るんじゃない? 隠してたって無駄なことよ。ウダウダしないで全部出しなさい」


母上は強欲にも僕に更なる要求を叩きつける。


「すみません……」


収納魔法から特上牛タァンを出し、


「これで全部です。これで許してもらえますか?」


僕の楽しみを実の両親にすべて奪われてしまった。


「さすがアレク! 私の可愛い息子タンね」


「アレク、父はお前を最後まで信じていたぞ」


 

父上と母上の手のひら返しに、僕はザ・焼肉の前では親子の情など皆無だと悟った。


「アンリ! 早速食べようではないか?」


「ええ。折角可愛いアレクが私達に食べさせたいとくれたお肉ですもの、喜んで食べさせてもらいましょう。誰かー! 誰かー! すぐ来てちょうだい」


母上は即行でメイドを呼ぶ。


「ハイ、王妃様。ここに」


1人のメイドさんが部屋に入ってきた。


「悪いわね。私の可愛いアレクが私達に是非とも食べて欲しいって、プレゼントしてくれたの。親思いの優しい子に育って、私嬉しくって! 申し訳ないけどすぐにシチリーン準備してくれるかしら? あとゲンタレも忘れないでね」


「ああ、こんなに良い息子に育って、本当に私達は幸せ者だ。酒の準備も頼む」


父上と母上はこの世のとは思えないほど、満面の笑みでメイドさんにお願いしていた。


「はい、只今急いで準備させます。あとそれからアレク様」


「はい、僕に何か?」


「あとで私達にもお肉よろしくお願いします」


メイドさんはそう言い残し、部屋を出て行った。

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