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第41話 片言の要求 

脳内会議『ヤベェヤツGP』の結果。クリス・アン・チャンスキー男爵令嬢の圧倒的な優勝で決まった。その結果に改めて、ヤツらのヤバさを再認識し溜め息をついた。



「アレク、どうしたんだ。急に日だまり込んで」


「……………………」


マリックが僕に話し掛けていたようだが、全然気が付かなかった。


「おい! お前、魂でも抜かれたんか!」


僕の耳元で大きな声で叫ぶマリック。


「おおわわわわ! 急にビックリするじゃないか!」


僕は大慌てでマリックを見る。マリックは僕の顔を覗き、


「大丈夫か? 顔色が悪いぞ」


「アイツらの異常なヤバさにドン引きしているところだ」


「まあ、なんだぁ、集いでは一緒に居るんだろ。俺達も婚約者を連れていくから何かあった時は止めに入ってやるから安心しろ」


サンペータが僕にフォローを入れてくれているが、あの時の僕を裏切り見捨てた事は忘れない。


「も、もう、いい時間だ。そろそろ帰ろう」


サンペータはハッとした顔になり、今日は解散しようと提案をしてきた。


「そうだな。ファンクラブの集いまで二週間あるからな。メンタルケアはしっかりしておかないとな」


僕はサンペータの提案に乗り、帰ることにした。





王宮に戻るとアリシアが僕のところにやって来た。


「アレク様! 私のバーベキューコンロの話はどうなりましたか?」


アリシアは目を輝かせて聞いてきた。


「アリシアかぁ、もう出来ているよ」


僕は素っ気ない態度で答えると、


「ギブミー バァーベキュゥーコォンロォ」


アリシアは片言の言葉でバーベキューコンロを要望してきた。


「実はな、ボッチのアリシアの為にシチリーンも作ってたんだが?」


「えっ!? 陛下や王妃様が使っているあのシチリーンですか?」


「そうだよ。部屋でボッチバーベキューするならシチリーンの方が使い勝手が良いと思って、ボッチのアリシアの為に特別に作っておいたよ」


アリシアのボッチで肉を焼く哀れな後ろ姿を想像するとなぜだかホロリと涙がこぼれ、少しでも彼女の為にと『アリシア ソロシチリーン アレク作』と刻んだシチリーンをプレゼントしたくなったのだ。


「ありがとうございます! アレク様。これで私もソロシチリーンデビューです」


アリシアは嬉しそうに僕からアリシア専用ソロシチリーンを受け取った。


アリシアがあんなに喜んでくれるなんて、僕は良いことをしたんだなぁと思い、天を見つめアリシアのボッチ人生の幸福を願った。


「ギブミー カァルゥービィー」


アリシアは強欲にも僕にカルビィを要求してきた。確かにシチリーンだけあっても仕方ないよな。僕は収納魔法でカルビィとタァンを出してあげた。


アリシアはニコニコしながらカルビィとタァンを受けとるとさらに強欲にも、


「ギブミー ゲェンタァーレ」


ゲンタレを要求した。確かにゲンタレがなければ、ザ・焼肉は半減してしまう。それにしても何でアリシアは片言なんだ?


とりあえず、ゲンタレを渡した。


「ヒャッハァー アレク様ありがとうございます」


アリシアはシチリーンとお肉、ゲンタレを持って僕の自室から出ていった。


これから自室に戻って、ボッチシチリーンで乾杯なのだろう…… 


アリシアのボッチシチリーンを想像するとやはり、悲しみの涙が溢れ出してきた。リア充の僕にはボッチの気持ちはわからない…… しかし、アリシアは自らボッチを望んでいるのだろう。僕はアリシアを生暖かな目で見守って行こうと誓うのだった。



――一週間後



『コン コン』


僕の自室にノックの音が響いた。


「アレク様、陛下と王妃様がお呼びになっております」


「ありがとうアリシア。今、行くよ」


急な父上と母上の呼び出し…… お叱りだろうか。気が付かないうちにやらかしてしまったのだろうか。



父上と母上の自室に着きノックをする。


『コン コン』


「アレクです。よろしいでしょうか?」


「ああ、アレクか。入れ」


「ハイ」


部屋に入ると、父上と母上はソファーに座り、僕を睨んでいた。さすがに二人に睨まれたらチビりそうになる。


「座りなさい」


母上の低い声が響く。


「は、はい……」


僕は父上、母上の対面に座った。あまりの恐怖で顔をあげられない。


「あ、あの…… 話と言うのは……」


僕は恐る恐る声を出した。

お読みいただき誠にありがとうございます。

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