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第36話 国王の野望

国王陛下、王妃である父上と母上に鬼の所業を見せる料理長! さっきまで父上のファンだとか言ってなかったか? 



「……………………」


「……………………」


無口になる父上と母上。

  

「では陛下、王妃様。どうぞお焼き下さい」


「えっ? 料理長が焼いてくれるんじゃないの?」


「まさか! 自分達でヤレってこと?」


父上と母上は目を点にしていた。まあ、国王と王妃って基本的にメイドや使用人にお世話してもらってるからな。


「そうです。自分で肉を焼いて、ゲンタレに付けて喰らう! 喰らいまくる!! これこそがザ・焼肉の醍醐味でございます!」


料理長はザ・焼肉を全身全霊魂を込めて力説していた。料理長をはじめシチリーンズは熱い(おとこ)達なのだ! 多分……


「「「さぁ、陛下、王妃様。ご自分達でどうぞ!」」」 


父上達はザ・焼肉初体験に挑む! トングを片手に持ち、熱々の網にカルビィを置いた。


『ジュー ジュー モクモク モクモク』


お肉の焼ける音、香ばしい匂い、白い煙が食堂に立ち込もる。


父上達の目がお肉への期待と希望に溢れたまっすぐにお肉をみつめる。シチリーンズはそんな父上達にエールを送るかのように歌い出す。


「「「ザ・焼肉のたれはゲンタレに限る~ ザ・焼肉はカルビィに限る~ それ以外は俺達シチリーンズが認めねぇ~♪」」」



――カルビィ以外は認めないのか? ホルモンとかタンなんか、いろいろ部位があるんだけどなぁ…… 後で教えてやろう。



父上達はお肉をひっくり返し、放置プレー継続中!


「陛下、王妃様。そろそろ頃合いだと……」


料理長が父上達に焼き上がるタイミングを伝える。


「そ、そうなのか?」


もう食べても良いのね?


父上と母上は料理長の言葉に反応した。


「ベストタイミングの焼き加減でございます。さあさあ、熱いうちにタレを付けてお食べください」


「ああ」


「こうかしら?」


父上と母上は焼き上がったお肉をタレに受けて口に運んだ。


父上と母上に必要以上の近付き、焦点の定まらない目をしなからヨダレを垂れ流し、つめるシチリーンズ。


「――!?」

「――!?」


父上はキョトン。母上は目をパチクリさせて呆然としていた。


次の瞬間。


「うめーー!! なにこれ? マジでうまいんだけど! 料理長どういうこと?」


「ガチよ。ガチ! こんなの食べた時ないわ。なんなのよ!このザ・焼肉って! お肉、タレ、お焦げの三位一体、ストリームトリプルアタック!」


父上と母上は狂喜乱舞していた。


「うまいのは当然でございます。なんせ私達がカルビィを切りましたからな! ワッハハハハ」


「さすが料理長ですわ! オッホホホホー」


母上は料理長達を褒め称えた。


「良くやった料理長! お前達全員の給金をUPしておくから楽しみにしているように」


父上も料理長達を褒め称えた。父上と母上は自分達で肉を焼いて喰らうという行為にドハマりし、ザ・焼肉を謳歌した。


「もう肉のおかわりわないの?」


母上はギブミーカルビィ! と言わんばかりの表情でおかわりを要求した。


「これから全ての肉料理をザ・焼肉にするように! 頼んだぞ料理長」


「ハッ! かしこまりました。早くカルビィの準備をしろ! 陛下と王妃様をカルビィ中毒にしてさしあげるのだ!」


「ビバ カルビィ!!」


シチリーンズは意味のわからん返事をして食堂をあとにした。



――!? えっ? カルビィ中毒? マジでカルビィって中毒性があったの? 

あっ! さっきのシチリーンズの父上達をみつめる表情…… 虚ろな目に締まりの無い口元…… ヤベェ、中毒患者大量発生じゃないか!


この時、僕は初めて気付いた。調子こいて飯テロすると、あまりの美味しさに人々は我を忘れ、とんでもない状況を作ってしまうのだと…… 


「父上、母上。これ以上カルビィを食べてしまってはいけません」


僕はこれ以上、カルビィ中毒患者を増やしてはいけないと思い、父上達を止めた。


「アレク。なぜだ、なぜ私達を止める! 私達の偉業はこれから始まるのだぞ!」



――何の偉業だよ! この国にいる牛を全部喰らい尽くすとかじゃないだろうな?



「父上、偉業とは?」


まさかと思い聞いてみた。


「お前の考えている事などお見通しだ! この世界の牛を我が物とする!」


父上の壮大な野望を聞かされた。この国の牛だけではなく世界の牛だと! あまりにも壮大過ぎる。やっぱりプリストの世界観は自分の想像以上に狂っているやがる……


『国王の野望 牛喰(ぜつめつ)


父上は新しいシュミレーションゲームでも作り出そうとでもしているのか?


この世界のウシさん、早く逃げてーー!!

お読みいただき誠にありがとうございます。

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