第32話 ついにデビューする!
悪夢の一日がやっと終わり、王宮に帰って来た。
「アリシア。すまないが湯浴みの準備をしてくれるかい?」
僕の専属メイドのアリシアにお風呂の準備をお願いした。
「もう準備は整っております。いつでも入れますよ」
アリシアは、私は出来る女とでも言いたげな表情で僕を見ていた。アリシアがこんな表情をする時は必ず褒めて欲しいと思う時だけなのだ。
「さすが、クールビューティー! 仕事が早いね」
「当たり前田のクラッカー! 髪がベトベトしているようですので早く入って来た方がよろしいですよ」
「――!? なぜそれを?」
「ファンクラブの情報網は完璧です。アレク様に何があったのか、即座に情報が流れて来ますから」
「えっ!? 学園で有ったことも知ってるの?」
「ええ、勿論。クリス様には困ったものですね。ホントに羨ましいかぎりです」
――!? ファンクラブのネットワークは5G並みに早いのか? このプリストの世界ではネットなんて無いはずなんだが…… ん~ まあ、考えるだけ無駄だな……
お風呂に入り、スッキリしたところで料理長のいる厨房へ向かった。
夕食の準備で忙がしくしている最中に申し訳ないと思ったが、今日の夕食に○タミナ源たれ風のタレを使って欲しいとお願いに来たのだ。
「あっ、料理長。忙しいところすまないが、今日の夕食に例のタレを使える料理はあるだろうか?」
忙しく動き回っている料理長に尋ねてみた。料理長は手を止めずに僕の方を見て答えた。忙しいのに僕に対して誠意を感じる対応。ヤベェ人だけど。とっても良い人だ!
「例のタレですかい? ん~、もうほとんどの味付けは終わってますからねぇ。使えるとしたらサラダぐらいしか無いですよ」
料理長はサラダになら使っても良いと言ってくれた。
「サラダのドレッシングとして出してもらえるかい?」
「そりゃあ、良いですけど…… 確かそのタレは焼肉のタレでしたよね? ドレッシングとして出しても良いんすかい?」
「ああ、構わないよ。このタレは万能調味料だからね。どんな料理にでも相性が良いからね」
「んじゃ、今日のサラダのドレッシングとして出しておきますよ」
「じゃあ、よろしくね」
料理長に許しをもらい、今日がスタミ○源たれ風タレのデビューとなった。
「スタ○ナ源たれ風タレかぁ~ 名前が長いな。異世界だから名前を変えても大丈夫だよなぁ……」
――著作権絡みが気になるところだが、プリスタの世界なら訴えられることも無いだろうとの判断で改名を決めた。スタミナどころかこの世全ての源。そう、それは言い換えれば、森羅万象の源とも言えるのではないだろうか。
その名は…… 『源タレ』! 通称『ゲンタレ』!
◇
夕食の時間となり、父上と母上。そして、僕がテーブルに着くと生野菜とゲンタレが運ばれて来た。
父上と母上の様子をチラチラと見ていると、母上が僕のチラ見に気付き、怪訝そうな顔をした。
「アレク。さっきからこっちをジロジロ見て、キモい子ね」
「……………………」
――母上。実の息子にキモいはないだろう! キモいは!!
気分を切り替え、父上のゲンタレの反応を観察していると、
「アレク。キモ! キモ過ぎワロタ!」
「……………………」
父上から辛辣な一言。
――僕はただ、ゲンタレの反応が見たいだけなのに…… これが飯テロを起こす者の背負わなければならぬ宿命なのか……
母上がゲンタレを掛けたサラダを口にした。
「――!?」
横目で母上を観察していると、目をカッと開き、手が小刻みに震え驚きの表情をして、サラダをガン見していた。
「どうしたとういのだ? 王妃アンリ・アンド・フラスターよ。毒でも入っていたのか?」
父上が母上に問う。
「いいえ、大丈夫ですわ。アレックス・フットネス・フラスター国王陛下。あなたもこのサラダを食べてみてちょうだい?」
――二人とも自己紹介ありがとう。母上からゲンタレの感想を聞けなくてドキドキしていると、
父上がサラダを口にした。
『パクッ モグモグモグタンタン』
父上はフォークから手を離し、体をワナワナと揺らしていた。
「料理長…… 料理長!」
父上は始めは小さな声だったが、急に大声で料理長を呼んだ。
「ハッ! ここに」
部屋の脇に控えていた料理長が父上達の傍に寄った。
「料理長! これは一体どういうことだ」
父上は興奮しながら料理長を問い詰める。
「陛下。どう言うことだと言いますと?」
料理長は待ってました。と言わんばかりのドヤ顔をしていた。
そのドレッシングを作ったのは僕自身なんだけど……
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