第107話 決闘の申し出
――3日後、僕はようやく目覚めた。
僕の究極魔法もあり、城の周りまで占領したとの報告を受けた。残すは城に立て籠ってある連中だけだ。ヤツらにとっては信じられない光景だろう。勝てると思っていた敵に、逆に負けるのだから…… 悪夢でも見ているかと思っているだろうが、これが現実だ!
ネズミ一匹も逃れることも出来ないほど厳重に城を取り囲む。
――翌日早朝
城内への攻撃部隊には連射が可能なスペンサー銃を装備させ、この戦争の山場となる最後の命令を下した。
「これが最後の戦闘になるだろう。攻撃目標はグランプロス帝国皇帝の首! デレモント王家族滅の二文字のみ! かかれーー!!」
「「「おおっーー!!」」」
バーサーカーと化した兵士が我先と城内に崩れ込んで行った。
元婚約者のユリアラ王女を生きて捕らえるため、アームストロング砲をブチ込んで殺ることが出来ないのは歯がゆい……
――戦闘開始から5時間後
城内へと突入したヒャッハー達から、皇帝並びに皇族一同を捕縛したとの報告が届いた。ギョシン司令官、ウィザード副司令官を伴い、急いで皇族共が捕縛されている謁見の間に急いだ。そこには皇帝、皇太子アイスキー・アール・デレモント、ユリアラ王女をはじめとする。グランプロス帝国の中枢人物達が捕縛されていた。
ユリアラ王女は銀髪になった僕を見て、最初は僕と分からなかったみたいだが、時間が経つにつれて元婚約者でもある僕に気付き唖然としていた。僕自身も彼女の捕縛されている姿を見ても何も感じなくなっていた。これで戦争の終決し、残るはコイツらの処分と逃亡をした軍人達の落武者狩りだけだ。
皇族の処分については、僕の好きなようにしても良いと慈悲深い父上が僕に一任してくれていた。
「アイスキー・アール・デレモントとユリアラを残して、残りは首をはねて♡」
僕は謁見の間に広がったカオスな雰囲気を変えるべく、可愛く命令をした。
僕の命令を聞いたヒャッハー達は、皇帝達の言い訳と命乞いも聞かず、次々と首を刎ねていった。
僕は嬉々として首を狩っていくヒャッハー達の姿を見て、薩摩隼人の本質を見たような気がした。もしかしたら、鎌倉武士団、室町武士団だったかも知れない……
残されたアイスキーとユリアラは、目の前の惨劇に震えていたが、アイスキーは
「私の命はどうなっても構わない。頼む。ユリアラの命だけは助けてやってくれ! アレク殿の元は婚約者だった彼女の命だけは助けてくれないか? 頼む」
――なんと!? アイスキーは、自分の命はどうなっても良いと、それと引き換えにユリアラの命は助けて欲しいだと…… あらヤダ
「何を言ってるのアイス!? 私はあなた無しじゃあ生きていけない。あなたがいない世界なんて、焼酎の入らない焼酎の水割りと同じだわ。あなたが死ぬなら私も一緒に死ぬ!」
僕はユリアラがアイスキーの提案をブチ壊し、焼酎の入らない焼酎の水割りは唯の水です。とツッコミを入れそうになったが、彼らの真剣なやりとりにツッコミを入れる事が出来なかった。僕だけじゃなく、誰一人ツッコミを入れる者はいなかった。まさに、これがドン引きである。
「スタッふ~。誰かぁ、アイスキー皇太子の縄をほどいてやって~」
僕がそう命令すると、傍にいたヒャッハーが不満そうな顔をしながら、ブツクサと何か言いながら、縄をほどいた。
――それ程までに首を狩りたいのかヒャッハー達よ…… 首狩り族はこれだから困る。
「アレク殿、これは…… どういうことだ」
アイスキーが僕に何故かと聞いてくるので、
「アイスキー皇太子。君に漢気を感じたのと、ユリアラ殿の真実の愛を見せてもらったからね。僕、個人としては君達に生きて幸せになって欲しいと思うけど、僕には総司令官としての立場もあるから、ここは僕と君と決闘で勝負を決めようと思うがどうだろう?」
「決闘……?」
「そうだよ。アイスキー皇太子。君が僕に勝ったら、フロンガスター軍はグランプロス帝国から撤収をして、今回の戦争の責任も問わない。それだけじゃないぞ! フロンガスター王国は君達の婚姻を祝福し、復興の為に多大な援助も約束しよう。決めるのはアイスキー皇太子、君だよ」
「……………………」
アイスキーは僕の提案に思案を重ねているのだろう。黙り込んでしまった……
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