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再会

美桜都から電話があった翌日、俺は休みを取り彼女の住む街へと向かった。

つぐみがやらかした事への謝罪と問題解決の為だ。

つぐみ、何をしでかしてくれるんだ。




古き街並みが残る、落ち着いたところだった。

木虫籠(キムスコ)と呼ばれる、美しい出格子が目を引く茶屋街に入る。

薄暗い石段が続く坂を登り、目的地である古民家を改造したカフェが見えてきた。

ここにあの二人がいる。待ってろよ、つぐみ。ただじゃ置かねえ。




カフェに入ると、店員に美桜都の名前と待ち合わせの旨を伝えた。ここは個室となっていて、聞かれたくない話をするには最適な場所だ。美桜都と付き合っていた頃に何度も来たことがある。まさかここでつぐみと会うなんてな。


店員に案内され、二人がいる部屋に着く。俺はすうっーと息を吸い、ノックをし、意を決して中に入る。中に二人の女性がいた。苦虫を嚙み潰したような三か月ぶりの懐かしい顔と、三日ぶりに会う、何度も夢に出た、憎らしい、いとしい顔だ。


つぐみは呆然としていた。なんでここにって顔だった。

俺は憮然とした表情でつぐみの横に座り、この半日何度も心の中で呟いた言葉をいった。


「何してんだ、お前」





「まず最初に謝らせてもらう。この馬鹿が迷惑かけた。本当にすまん!」


俺は深々と美桜都に頭を下げた。ついでにつぐみの頭を押さえ、こいつの頭も下げさせた。

つぐみはむぅっと口を膨らます。いいから黙っとけ。


美桜都ははぁーと大きい溜息をつき、俺たちの顔を交互に見つめ言った。


「まったく、しっかり手綱を握ってなさいよ。この娘、とんだあばれ馬じゃない」


全くもってその通りです。


謝罪を終え、俺は色々な疑問点を明らかにしていこうと思った。


「……まず、つぐみ。どうやって美桜都の場所を知った」


つぐみの目が泳ぐ。何かやましいことがあるようだ。俺はぎろりとつぐみを睨む。つぐみは観念しぼそぼそと自白を始めた。


「兄さんの大学時代の友達に探りを入れました。制服姿で上目づかいでお願いしたら、デレデレして名前と勤務会社教えてくれたんです。支社の所在地は、兄さんがうちに頻繫にくれる土産物から察しました。勤務先に直に行ったらスムーズに会えたんです。いやー私が言うのもなんですが、セキュリティー、ガバガバですね」


何やってんだ、あいつら。突っ込み所がもう一つ増えた。

まあF女学院の制服を着た美少女に抗う術はないか。

呆れつつも、俺は本題に入る。


「お前、美桜都に俺の子供を産んでくれって言ったそうだな」


つぐみの肩がぴくりと動く。


「美桜都、こいつお前に何て言ったんだ?」


美桜都は疲れた顔で、つぐみが語った言葉を伝える。


「……あなたの子供を産んで欲しい。それ相応の謝礼はする。年収ウン年分の一時金。出産休職中の保証、職場復帰後のポストの保障。ついでに将来の幹部登用もおまけで付けるって言ってたわ」


なんじゃ、それは。俺は思わず突っ込む。


「つぐみ、お前どんだけ金持ってんだよ。てかポスト保障とか幹部登用とか無理だろうが」


つぐみは渋々と俺の問いに答える。


「投資で結構儲けたんです。それで株取得しました。流石に美桜都さんが勤務する会社の株を直接はきつかったんですけど、役員を送りこめる、規模の小さい持株会社があったのでそっちを押さえました。人事の介入は余裕ですよ」






こいつ、来ないと思ったら、そんなことしてやがったのか。

怖いわ、こいつ。


つぐみちゃん、馬鹿ですけどスペック高いです。周りにこんな子いたら大変でしょうね。


一章残り僅か。最後の力を振り絞りっています。皆さまの力をわけて下さい。ブックマーク、星評価お願いします。

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