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妄想の帝国

妄想の帝国 その70 ニホン国カルト与党撲滅戦争、これはアメリカの侵略戦争ではない

作者: 天城冴

アメリカをはじめとする国連軍により、ニホン国ジコウ党政府は倒され、その残党がジコウ党会館に立てこもっていた。激しい攻撃に右往左往のギジ元防衛大臣らは現状を嘆くが…

 大規模気候変動の影響か、殺人的暑さが続く、ニホン国。首都トンキョンでは、照り付ける日差しに外に出るのは危険と熱中症警戒アラートが鳴り響いてもおかしくない気温だが、鳴り響くのは銃声と人々、ジコウ党会館に立てこもった人々の叫び声であった。

ドッカーン

アメリカ製の最新鋭ミサイルといえば聞こえがいいが、実際は試作段階のソレが、会館の8階あたりに打ち込まれる。

 バラバラと壁の破片が散乱する中、怯え切ったジコウ党議員他支持者などが大声で叫びまくる。

「くう、に、ニホン政府を守るんだ~」

モンキ元ジコウ党幹事長ら数人が、慣れぬ手つきで銃をとり、外に向かって発砲する。

「わあ、全然だめだ、と、届かない」

彼らが手にしているのはSPがもつ護衛用のピストルだの自衛隊の銃だので、もちろん相手のミサイルには届かないどころか、どこに向かって撃っているのかさえ、不明。

それでも

「ジ、ジコウ党は永遠だー」

などど叫び、むなしい抵抗をしながらも、降伏する気はさらさらない模様。しかし、有効な戦略も立てる気もないらしく、ほとんどがひたすら喚き散らしていた。その中でも

「ま、またミサイルがあ、いったいなんでこんなことにい!」

となお一層叫ぶのはギジ防衛大臣、正確には元であるが。

「ギジさん、あ、貴方のせいですよー」

「お前、たかが平議員のくせに、そればっかり、な、なぜ私がわるいんだー」

「あ、あんなこと言うからですよ、トン一教会と関係があって、何が悪いんだなんて。いや、そりゃおじいさんやお兄さんが懇意にしてたところだし、昔からの付き合いがとかが思ってたんでしょうけど」

「そ、そうだよ、だいたい兄なんて何回も集会に出て、講演も、祝辞もやったし。それに政府が功労者を招待するサクラを愛でる会にだって、トン一の幹部の型を招いたし」

「だから、それがまずかったんですってば!トン一といえばかれこれ30年以上前からヤバい団体、霊感商法だの壺だの印鑑だの売りつけるだの、無垢な学生をだまくらかして信者にしたてるだの、いろいろ言われてたんですから」

「で、でも、兄のころはそうでもなかったが」

「それは、そもそもトン一に対する警察の捜査に圧力をかけるわ、マスコミにトン一の被害者について記事するな、報道するなと暗にいうわ、トン一被害者の弁護団の訴えを握りつぶすわ、徹底的に隠蔽したからですよ。お兄さんとガース元総理、お得意の黒塗り、邪魔者排除の隠蔽」

「そ、そうかもしれないが、だ、だからってなんでアメリカに攻撃されることになるんだ!」

「反省もせずに開き直るわ、その勢いでトンデモナイコトしちゃったからですよ。ああ、あのときマスコミの追及に素直に反省して、手を切るとか清算するとか、再捜査するとかしておけば」

「そうはいうが、公共放送INUHKだの、夕日新聞だの黄泉瓜だのは、沈静化したし。そりゃ少しは関係のある議員の名も出たし。わ、私もなんとか誤魔化したし」

「あれで誤魔化したおつもりですか?意味不明というか理解不能のニホン語としてなってないような文を発しないでほしかったです。ホントにお兄さんと一緒でニホン語が不自由すぎます」

「し、しかし国際政治学者のヨツウラ・ハリだの、芸人のオンタ・ヒカリだの、モンキ博士だのは擁護してくれたし」

「あの屁理屈で擁護っていえるなら、子供の言い訳のほうがマシですよ。モンキ博士なんぞ、“日陰ものが一時期もてはやされ、いい気になって専門外にも大きな顔して、しかも権力者にも擦り寄ったら、見事ずっこけて引くに引けずに、謎理論を述べて、かえってアホだと思われる”症候群に罹っちゃってましたからね。ホント、コンプレックスのある人ほどそういう病にかかってしまうんだから、まったく」

「そ、そんな病気があるのか。…いや、そんなことはどうでもいい。問題はなんでそれで、ど、同盟国であるはずのアメリカに我々ジコウ党が攻撃されるんだ」

「あちらの理屈じゃ、同盟国だからだそうですよ。アメリカでも危険視されてるカルト教団とニホン国の政府が癒着してるなんて、国家安全保障上、大問題。中国との軋轢だのロシアの侵略戦争だの吹っ飛ぶぐらいのことだそうで」

「そのギジチンスケ祖父さんはアメリカに教祖様の釈放を訴えて、聞いてもらったのに」

「危険性がまだ広まっていなかったんでしょう。今はもう、アメリカでも、発祥の地の韓国でさえ、危険視されている団体です。そんなところとニホン国の与党、そして元総理だの元防衛大臣だのが癒着だなんて、と」

「兄と違って、元じゃない、私は現役の防衛大臣だ!」

「いや政府倒されたことになってますから。アメリカを筆頭とした国連軍に占領されちゃいましたから。野党の一部、共産ニッポンとかがニホンの主権を守れとか抵抗してますけど、大半の国民はジコウ党政府からアメリカ主導暫定政府を受け入れてんです。まあ、金も食料もくれますしね。今や我らは悪の政権の残党です」

「くう、あ、アメリカの裏切り者。こ、こんなときに北朝鮮はなんで沈黙…」

「北朝鮮はトン一切り捨てて、守りに入ったらしいです。大人しくして徐々に体制移行するフリをすれば、これ以上制裁はないという密約でもあるのか、ジコウ党政府とトン一の関係の証明となる書類だの映像だの、国連に渡してるそうで。ロシアや中国もこの機にニホン国の領土をとれるならと参戦、ロシアのプータン大統領は北海道とミツンビシ財閥が手に入るならウクライナはあきらめてもいいといっているとかいないとか」

「か、勝手に国土とウチの財閥をやるとか約束するな!くうう、トン一から票もらって、マスコミや財界、地方自治体も信者増やして、お互いにウィンウィンの関係だったのに」

「その陰で多くの国民が地獄の苦しみを味わってたのを無視したからですよ、国会議員のくせに。ああ、もうなんでジコウ党から出ちゃったんだろう、せめてメイジの党とか。いやダメか、メイジの元トップマツイダさんのお父さんはトン一の教祖の犬を自称したササンカワさんの子飼いだから、当然トン一の犬、下僕だろうから。だからオーサカ市民、府民を見殺しにして利権まみれのミヤコ構想だのバンパクだのに血眼になっていたのか」

「勝手なことばかりいってないで、何とかならないのか、じ、ジコウ党会館が、わ、私たちが、ギジ家とアベノ家はー」

「ニホン国を危機に陥らせたトンデモ政治家一家として名を遺すんでしょうね。特にあなた方ご兄弟は、どこぞの独裁者並みの扱いを受けるでしょう。お兄さんの暗殺犯も名をのこすでしょうけど、単なる犯罪者とはされないでしょうね。世界史のテストとかにでそうですよ」

「そんな、うんちくはいいから、私たちの命は―」

「トン一教会にささげたも同然なんですから仕方ないですよ、ギジ元大臣も故アベノ元総理も。選挙の票集め依頼したんでしょ、お兄さんのアベノ元総理なんて、どの候補に票を入れるかの指示までして、信者議員を取り立て、取り巻きの信者の後ろ盾になってテレビだのなんだのに出させてたんだから、トン一と同じです。私だって関係ないといいたいけど、集会出るわ、寄付もしちゃうし、それがバレて地元では大騒ぎ、今となっては村八分どころか一家離散です。もう、ここで終わりにするしかないのかも」

溜息をつく一回生議員。それとは逆に無駄なあがきを続けるギジ元防衛大臣だったが、

ドーン

バラバラ

最後の一発で崩れ落ちるジコウ党会館。ギジ元大臣は断末魔の叫びをあげながら、多くのジコウ党議員、支援者、トン一信者の似非学者や太鼓持ち芸人、ジャーナリストモドキらとともに、危険な倒すべきカルト教団の一員として、その生涯を終えた。


どこぞの政府はカルトとの癒着がなんだと、マスコミや太鼓持ち芸人、似非学者総動員で話題逸らしをしているようですが、よそ様の国からは不気味なカルトに乗っ取られた国家とみられているようです。この先、どうなるんでしょうかねえ。

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