3話
よろしくおねがいします
さてね、どうしてこうなったんだろう。
「えーと、つまり、朝起きたら面識の無い彼女が家にいたと」
「はい、そうです。しかも僕の布団を奪い取っていたんです。これって窃盗になりますかね?」
「どうでしょう?こういうケースは私も携わった事が無いのでわかりかねます」
「はあ、そうですか」
コンコン
誰か来ましたね。向こうの事情聴取が終わったのかな?
「失礼します、彼女の方があなたの父親と面識があり、鍵を渡されて先に行っておくように言われたと供述しているのですが。確認していただいても宜しいでしょうか?」
え、父さんの関係者?
ヴーヴーヴー
あ、電話がかかって来た。しかも、父さんから。あれ?国際電話じゃない?
「ちょっと、失礼します」
「はい、もしもし」
『おーい、今どこにいる?家にシルヴィアっていう少女が来たと思うんだけど?その子に鍵渡してるから家に入れないんだけど』
・・・ビンゴだ。
『もしかして、警察にお世話になっている感じ?シルヴィアが家に勝手に入ってき通報したとか?』
「・・・正解」
『あー、じゃあ取り敢えず、それ取り下げといて。始末はこっちでつけとく』
「わかった、そうしとく」
もしかしたら講義に間に合うかも?
「すいません、どうやら本当に父の客人のようです。取り下げさせて頂いてもよろしいでしょうか?手続きなどは父の方から何かしらのアクションがあると思いますので」
「そうでしたか。事件性の無いならばこちらとしても問題はございませんので、・・・彼女はどうします?」
「家に連れて帰ります。父が家で待って居るらしいので」
「わかりました。それでは少し待合室の方でお待ちください」
「あ、もー酷いじゃないですか!なんで朝から警察に事情聴取されないといけないんですか!?」
「シルヴィアさんですね、初めまして。日本語お上手ですね。名前的には英語圏の方だと思うのですが、そこまで流暢に話せるとなると日本育ちとかですかね?同じ語族の言葉でも癖ができてしまうものですが、ましてや、インド・ヨーロッパ語族がルーツの言葉とウラル・アルタイ語族がルーツの日本語では別物すぎて習得がやたら困難になりますからね、癖なく話すにはそれこそ母語であるくらいじゃないと厳しいですし。特に日本語は」
「うわあ、謝罪とかするつもりは一切ないと言わんばかりに捲し立ててくる。しかもやたら意識高い内容で。父親に似てるなあ。まあ、合ってるんだけどなんだかなぁ」
「まあ、そんなことはどうでもいいんでさっさと帰りますよ」
「ねえ、私雑に扱われてない?」
「父の客人であって僕の客人ではないですからね、あと僕の布団を取ったのは許さない」
「人間性がちっさい」
「知ってますよ、それくらい」
「自信満々に言うことじゃないでしょ」
タクシー呼ぼうかなぁ。歩いて帰れない距離でもないからお金勿体ない気もするしなあ。あ、そうだ。
「シルヴィアさんお金もってる?」
「え、突然の集り?いくらなんでもそれはちょっと」
「そんなみっともない事するわけないだろ。タクシー代持ってるかなあと思って聞いただけだ」
「あんまり変わらなくない?」
結構お金持っていたので奢ってもらいました。
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