表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/17

5-1 イケメン令嬢は村人達に愛されて幸せに暮らし

 あれから私達は、村に戻った。

 私の姿に気が付いた年配の女性が、声をかける。


「あらエリー。やっと帰ってきてくれたのね。仕事が()まっていて困っていたのよ。帰ってきてくれて嬉しいわ」

「すみません。ご迷惑をおかけしました。本日から離れていた分も働きますので」


 そう頭を下げると、さっそくとばかりに女性は私に薪割りの仕事を頼んだ。

 マーガレットの仕事をどうするかも忘れてはいけない。ひとまず今日は、一緒に薪割りを頼むことにした。


 それからというもの、村での暮らしは平和だった。

 尚且(なおか)つ、楽しかった。


 村人が病気とあれば森へ薬草を取りに行き。

 村の子供が泣いてぐずれば、走ってあやしに行く。


 村人は私達を信頼して、私達も村人を信頼する。


 ヘンリーに敵対心を持っていたマーガレットだったが、一緒にいると彼の誠実さを少しずつ理解していった。

 暫く経つと、いつの間にかこっそりと私の可愛さの語り合いをするようになっていた。

 その事実にはかなり驚いたが、二人が仲良くしている姿は、実に楽しいものだった。


 幸せだった。




★☆★☆★☆★☆★☆★☆




 だが突如、再びあの男達が現れることによって、平穏が崩された。


 冒険者の二人組だ。


 私は長い間平穏に暮らしていることで忘れていたのだ。

 私達に悪意を持っていて、私達の名を知っており、私達の居場所を知る人間がいると。



「随分と楽しそうに暮らしているじゃねぇか」


 冒険者二人組のうち、赤髪の男が私達にそう言う。隣にいるもう一人の冒険者。四角い眼鏡をかけた太った男は今日もおどおどと黙ったままだ。


「前回の件で懲りたと思っていたが……また性懲りもなく現れたのだな」


 私がため息をつきながら尋ねると、赤髪の男はにやにやと私の周りを歩く。


「あの後よぉ……。近くの街の酒場でお前達のことについてぐちぐち文句を言っていたら、お前達の情報を集めている人間に会ったんだ。何やら姫の側近とのことだ。お前達、相当姫から嫌われているらしいな」


 そこで、婚約者を殴った。との情報が出てこない辺り、アンドレは私達と合った事を周りに話していないと分かる。

 まあ、そりゃあ。「元婚約者との再縁を望んだ挙句女相手にボコボコにされた」なんて主張は、中々できないだろう。


 しかし、殴ったことがバレていないだけマシというだけで、姫から嫌われているとバレた時点で、私達の状況は良くない。

 赤髪の男は村人達に向けて叫ぶ。


「おい! この女は、この国の姫から嫌われている女だ! 婚約者を寝取った女だ!」


 まだキスもしていないのだが……。


「この村に置いていたら、この村は燃やされるぞ!」


 そう言い切った赤髪の男は、勝ち誇った表情をする。


 だが対して……村人達は、彼に怒りを見せた。

この度は本小説をお読みいただき誠にありがとうございます。

もしよろしければ、↓のブックマークボタンと☆☆☆☆☆ボタンを押下して頂けると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ