第1話
初めてですので暖かい目でお読みください
ー…人狼、それは人でありながら人ならざる獣である。彼らは今も社会に潜んでいる…ー
伊崎嶌牙は、人狼でありながら純血の人間として生きている。彼の父・伊崎真緒斗は建設会社の課長、母・薬理はスーパーのパートをしているが、裏では、人狼一族の本家からの追手を返り討ちにしている。彼ら伊崎一家は『血の反逆者』と呼ばれる人狼一族から抜けてきた者共である。
「嶌ちゃ~ん、こっち来て~!」
「母さんどうしたの?合格発表見てきてやっと安心できたのに…ってうわ?!」
嶌牙が母達がいるリビングに行くと、父達知り合いが「パンッ」とクラッカーを鳴らした。
「「合格おめでと~!!」」
びっくりして頭を打った嶌牙が起き上がると、そこには、沢山の豪華な料理や、高校生に必要な鞄や新しい時計等があった。
「…ん?…え、何これ、スゴい。ってかスゴいで終わらないだろこれ」
困惑している嶌牙を事情を知る人間で真緒斗の旧友であるユキコが席へ連れていく。
「いや~ん。どうしたのよ嶌牙ちゃ~ん」
「いや、こんな盛大ならびっくりするでしょ!!」
「ハッハッハ。嶌牙は驚き性だなぁ!」
同じ『血の反逆者』であり、他種共和同盟盟主の隆司・グランダージが言った。
「それにしても、相変わらずキモいなぁ、ユキコ。いや、孝行は」
「おい!!アタシの元名言うなクソ法隆司!!」
「獅子丸と遊ぼ~♪」
互いに罵り合うユキコと隆司を他所に隆司の妹の彩月はペットで猫の獅子丸と遊んでいる。
「も~!!今日は嶌牙の合格祝いなのに~ウゥ」
「まぁまぁ、良いじゃないか。この方がみんならしいし楽しいだろう?」
「う~ん…そうだけどさぁ…」
困る薬理に対し、真緒斗はとても笑っている。そんな光景を見て嶌牙この時を大事にしようと思った。
嶌牙は入学式に参加する為、学校へ向かっていた。実は、前日まで闘っていて嶌牙は今、とてつもなく眠いのである。そんな中で少女の声が聞こえてきた。だが嶌牙は、それが幻聴だと思った。
「助けてぇ!!」
(きっと幻聴だろう。気にしないで学校に…)
『嶌ちゃん、女の子の助けを求める声が聞こえたら、迷わず向かいなさい。行かなかったら、わかるわよねぇ…?』
(…行かないで帰ったら、俺が逝ってしまう気がするなぁ…)
そう思うと嶌牙は声のある方へ向かった。そして女の子が人ではない『何か』に襲われていた。
「こいつ、妖か」
[ ヒョッヒョッヒョ。お前、儂と同じような匂いがするなぁ…]
「お前なんかと同じじゃねぇわ。妖」
嶌牙は戦闘の構えをとり、そして『覇気』を発しだした。
[ホホォ、多少は出来そうじゃなぁ。だがこの儂、蛇腹百足には到底及ばな…え?]
蛇腹百足の腹と足には、出来たばかりの無数の傷があった。
[お、お主。一体、何…を…]
「力量の違いくらいカスでもわかるだろう?って死んだか…」
「おい嬢ちゃん、大丈夫…か…?」
「は、はい!大丈夫です!!その、ありがとうございました!!」
「お、おう」
嶌牙は目の前の少女を見て新しい『心』の何かを見つけた。そして彼はまだ、動き始めた連鎖に気付いていなかった…。
多分、続く