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微睡み。この言葉が愛しい。
何をどうやってマドロなどと読むのか……
全然気にならない……
またも就寝前に勢いだけで書き進めてしまいました。
※誤字脱字、物語の急展開と急停止、キャラの激しいブレがあるやもしれません。ご注意ください。
「さて、君の事情は全て知っている。その上で君には異世界に行ってもらうんだ。」
「いやぁ……、うん……、もういいよ……
拒んだりしないから、企画のルール説明とか教えてくれれば良いよ……」
恩だとか義理だとかではなく、ただ、この神様相手になら身を委ねてしまっても良いだろうと思っただけだ。
このタマモノマエという神様が嘘を吐いている可能性は充分にあり得るけれど、たかが人間である僕にそれを確かめる術などないのだから。
「うん、ありがとう。
ルールという程のことは人間たちに強いることはないんだけど、転生者であることを公言すると厄介ごとになるから気を付けてほしいかな。
負けず嫌いな神の選んだ人間に狙われることになるから。」
「……物騒だね」
「それに対抗する術としてどの転生者も"特別な力"を持つんだけどね。」
「狙われるって、どれくらい転生者はいるの?」
「様々な神話の神様がいるからね、1つの星じゃ足りないから5つの星でこのイベントを行うんだけど、1つの星に2,000人だね。」
「規模が大きすぎてよく分からないけど、2,000人じゃなくて、2,000神様と競い合うの?」やけに多い気がするけど……
「半神やらなんやらも含めるとそのくらいいるらしいんだよね。
あ、あと重要なことなんだけど、転生後の種族の話で……」
人間以外にも生まれ変わるのか……
「うん、人間の魂によって種族が変わるらしいんだけど、何がどうすればどの種族になるとか、その辺りはこのシステムを作った神様に訊かないと分からないから、応えられない。ごめんね。」
「出来れば人間以外が良いけど……
あ、でも知性があったらどんな種族になっても大差ないか……」
「そんな感じの心持ちだとこちらとしても胸が苦しくないよ。でも、転生後の生活環境とかも手出し出来ないから、本当にごめん。」
「いや、まぁ、人なんて何やったって死ぬときは平等に死ぬだけだから。気にしてない。」
「相変わらず達観してるんだね。
次に"特別な力"についてなんだけど、【加護】と【能力】の2種類を1つずつ与えることになっている。」
特別な力と言っても生存競争の激しい世界でどこまで通じるかだよねぇ……
「その通りだね。
例えば【心眼】という能力があるんだけれど、これは相手の心を読む能力だね。」
「今使ってるやつ?」
「そう、この力、一見便利そうなんだけど、知性のない魔物や獰猛な獣の心なんて読めないし、読む隙すらない状況になったらもう、おしまいだよね。」
軽くおどけたように話すが、なんとも分かりやすい説明だ。
「加護は担当の神様が持つパッシブスキルと同じモノが1つだけ加護として付与される。
下級の八百万の神全員のパッシブスキルから選んでもらえたら心強いんだけど、ルールで総括である私のパッシブスキルからしか選べないことになってる。
能力も同じで、神の能力から選んでもらうんだけど、私たち下級の神は能力が弱いから、これは全八百万の神の能力から3つ選んでもらうことになってる。
強い力を持つ神様の場合は1つだけなんだけど、とてつもなく強力なものばかりだから、対峙する時は気を付けてね。」
「いや、戦死とか録でもないから流石に逃げるけど……」
「うん、それが賢明だね。
説明は大体こんなところだよ。
なにか質問はあるかい?」
「何を質問すれば良いかも分からない……
まぁ、郷に入っては郷になんとかだから、異世界に生まれ直してから考えるよ。
って、漫画やアニメみたいなノリで前世の記憶がある前提で話しちゃったけど、あるの?」
「もちろん、あるよ。その漫画やアニメに影響されてこんなことやってるわけだから。
じゃあ、そろそろ加護と能力を決めるかい?」
「あー、うん、そうしよう。
神様の力が強いだの弱いだのが正直よく分からないけど。」
「うん、軽く例えるとしよう。
時を司る神の場合、数秒の間だけ時間を止めることが出来る。みたいな感じさ。」
「それは、確かにぶっ飛んでる気がする。対人戦で使ったら無敵な気がするもん……」
「いわゆるチート能力みたいな力だね。
対して私たちの下級の神の能力は、魔力という概念のある魔法の世界では5~6年も修行すれば習得出来てしまうようなものばかりなんだよ。それでも習得することによるデメリットがあるけどね。」
デメリット?
「何かを得るには何かを犠牲にする必要がある。下級であろうと神の御技だからね。 5~6年の修行と、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、魔力を関知する感覚の魔覚、四肢であればいずれか一ヶ所、これらの内の1つを代償としなければ習得出来ないんだ。」
「こっわ……
そこまで力に飢えますかね普通……」
「上級の神様の能力は、六感、四肢共に全損でも手に入らないような能力。といえば伝わるかい?」
「これもまた規模が大きすぎて想像出来ないというか、想像したくないというか。
比べものにならない強さってことなのね……
とんでもない世界に送り込まれるなぁ……」
「これらを踏まえて、能力と加護を決めようか。
君が簡単に死なないように私もアドバイスするさ。」
神様がそう言った瞬間、VRゲームのように目の前に文字が浮かび上がった。
『加護の一覧』『能力の一覧』と並んで浮かんでおり、加護の一覧に手をかざすと5つほど名前が表記された。
・妖狐の本能…六感と危機察知に優れる。
・忍耐…精神弱体化の進行を遅らせる。
・虚構の眼…瞳の色を赤・紫・橙の3色に任意で変えることにより火・闇・光の属性能力の威力を高める。
・妖狐の衣…妖気を纏う。外観が幼く見える。
一番下の加護を見てつい、なるほど、と口に出してしまう。
「今さらだけどタマモノマエって狐の神様なんだね。」
「狐の神様というか化身というか、そういう事実が不明瞭な神格だよ。それだから力が弱いんだけどね。
ちなみに、何に『なるほど』と言ったかは訊くまでもないけど、聞き逃してないからね?問題は数ある能力の方なんだ。早く決めてくれないかい?」
おぉ、怒っている……
充分に整った容姿なんだから幼かろうが関係ないだろうに……というのは僕の見解だからな、次から気を付けよう。
加護に関しては即決だったから急かされても問題なく応えられる。
「じゃあ、妖狐の本能ってやつで。」
「早くしろと言った手前でなんだけれど、随分とあっさりと決めるね?」
「うん、まぁ、どの加護も凄そうなんだけど、危機察知能力が低くくていつの間にか死んでた、なんて何のネタにもならないからね。」
「君が企画のことを気にする必要はないんだから好きに決めたら良いじゃないか。」
「いや、僕だって死にたがりというわけでもないからね。攻めや守りより、逃げを選べる加護がほしいだけだよ。」
戦場で生き残るのは強者でも弱者でもなく、臆病者だ。生前聞いたそんな話を信じてみる。
「それに、この加護って、タマモノマエが最初に会得したパッシブスキルなんじゃないの?」
僕の質問にタマモノマエはニコニコになって聞き返す。
「どうしてそう思ったんだい?」
「僕の日本の神様のイメージって、特質した力のある人や動物を人々の言い伝えに尾ヒレがついた挙げ句に、実際には有りもしない力を言い伝えによって有した存在が神様だと思ってるんだよ。
都市伝説が実話として体現してる存在?みたいな。
つまり、タマモノマエは元はただの賢い狐だったんじゃないかなって。」
「うん、大正解だね。
神話の大本は人間が作った物語で、その物語の主要な神様たちが日本の上級神様。
自然そのものや、自然災害など、或いは大きな動物、或いは樹齢数百年の大樹、それらを奉る文化が日本にはあったから、神ではあっても人の形を成さない神が生まれた。それらが下級とされている八百万の神々だね。」
「つまり、この加護がタマモノマエのただの狐だった頃に会得したスキルってことで良いのかな?」
「探偵に推理で暴かれた気分だね。
その通りだよ。それが私が生まれ持ったスキル。もっとも、スキルなんて大層なもんじゃなくて、勘が鋭いくらいだったんだけどね。
神格化したら妖狐の~とか言われてただけだよ。」
「神になるって大変そうだね。」
「そうだね。非常に面倒だね。今は暇してるけど、なる時は本当にね。
とりあえず、加護はこれで決まりかな?」
「うん、これでいいよ。
神になった先人?先狐?が持ってた加護なら、無難だろうし。」
「それじゃ、次は【能力】を決めるけど、これは本当に大変だよ?私も含め八百万なんていうとんでもない数の神の能力から3つだけ厳選しなくちゃいけないからね?」
『能力の一覧』に手をかざすと、表示された画面いっぱいに文字が羅列し、スクロールのポインターが豆粒のように小さくなっている。
「総じて1000以上だね。
とりあえず、一つ一つ説明していくから、気張っていこうね。」
僕は既に降参したい気持ちで一杯一杯だと言うのに。心が読めるならこの気持ちを汲んでほしい………
タマモノマエの笑顔が崩れない………
なんでこんな目に………
いい加減に異世界に行かせる予定ですので、次話をお待ちください。




