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就寝前の勢いで書いたので粗雑やもしれぬ。
クリスマスイブは仕事です。
サンタさんは来ません。
私がお客さんのサンタさんだからね。
※あらすじ・プロローグを読んでからお読みください。
「つまり、僕はその神様の暇潰しのために異世界に転生させられると?」
「そういうことだね。」
ウンウンと頷くその人の前で、僕は理解が追い付かないという表情を一切取り繕わずに聞いていた。
それはそうだろう?異世界やファンタジーという幻想は容易に想像は出来る。アニメやマンガなんかでそういった世界観はよく目にするからだ。
けれど、実際にその世界に自身がいたら、なんてイメージは出来たとしてもシミュレーションなんて出来るわけがない。
魔物の息遣い?動物の呼吸ですら神社の野良猫以外では聞いたこともないのに。
現代社会を生きる生温い人間風情の僕が生存競争が激しい世界に行ったところで何が出来るというんだ。
良くて餌、悪くて犬死にといったところじゃないか。
ここは丁重に断るべき…………
「色々考えてたみたいだけど、拒否権はないんだ。すまないね。」
会話していて分かったけれど、人の思考を読めるって便利だな……
会話が苦手な僕としてはありがたい……
「まぁ、なんだね、流石に何の力もない一般人を異世界に送っても仕方がないから、ある程度の加護や能力を持ってもらうのだけれど。」
「アニメみたいな話だね……」
「鋭いところを突くね……
力を持った神々が人間の創作するアニメとやらにハマった結果がこれなんだ……」
はぁ……タメ息を吐かずして何を吐けと。
なんで僕なんだ………
「強いて言うならそういうところかな。」
「………どういうこと?」
「普通、"特別な力"というのは好奇心が湧くものさ。或いは、次の人生をどう生きようか、或いは、"特別な力"をこう使いたい!
などと異世界転生を前向きに考える傾倒の者をどの神様も選ぶんだ。
前向きな人間や正義感の強い人間は、善悪はともかくとして行動力があるからね。面白い画が撮れるものさ。」
え、もしかして煽られてる?
どこまでも卑屈な僕にそれ言う?
「いやいや、煽ってない煽ってない。
つまるところ、私の価値観の問題なのさ。」
価値観?
「君は、"特別な力"を持った正義感の強い人間って、人間だと思う?」
"特別な力"が何を指すかは分からないけれど、力強く正義感も強い人間というのをなんとなく思い浮かべる。
「あー、なるほど、特別な力を持った正義感の強い人間か。
周囲を認めさせる力、カリスマ性があって正義感が強く周囲が憧れるような存在。
つまるところ、陽キャ、、、」
言葉にすることが面倒臭くなってしまい、その人、ひいては神様の首を傾げさせてしまった。
「えっと、英雄ってことだよね?」
再度言い直すと神様の表情が笑顔になった、ような気がした。未だモヤが取れずにいるから実際に笑ったかは分からない。
「その通り!!
神話の世界には英雄なんて山ほどいるんだ!!
正義感なんてのは力のある一部の人間の持つ人間性なんだ!
普通、人間は正義感などよりも勝る人間性を有するにも関わらず、正義感の強い人間ばかりを集めてもそれは神話の再現にしかならないんだよ!!」
いや、それは人それぞれというか神それぞれというか…………
「分かっているさ。
だから、私の価値観の問題なんだよ。」
あー、そういえば言ってたな、「失礼した」
「別にいいさ、気にしてない。」
「で、その価値観と僕にどんな関連性があると?」
「君の思考のジレンマ、私はたまらなく好いているんだ。常に自己嫌悪し自己否定する人間が"特別な力"を持ったら。
それは誰にも想像出来ないものだと思ったんだ!」
ここまで褒められている気がしない好評価を受けた人間は僕だけだろうな。
「気持ちというのは中々伝わらないものだね。」
「名前すら聞いていない人……じゃなくて神様に好かれても仕方がないのでは……」
「あ、忘れていた。すまない。
といっても、んー、もう少し神様についての説明をさせてもらっても良いかな?」
「あ、はい、どーぞ。」
「日本の神話って分かる?八百万の神様とか。」
「あー、色んなところに神様がいるっていう。」
「そうそう、 日本の神様って知っての通りめちゃくちゃ多いからさ、今回の企画では八百万の下級の神たちと、八百万の神が転じた妖怪とかが一括りとして扱われているんだよね。
それで、その総括をあみだクジで決めたんだけど、私になったということ。」
「神様が阿弥陀とか言ってる状況が違和感過ぎる……」
「言葉に力が宿る神様ならともかく、私みたいな下級の神様なら大体何言ってもなんの影響もないから、大丈夫。」
言霊ってやっぱあるんだ…………
「で、総括することになった神様、私こと 玉藻前と申します。君を選んだ神様として今回の企画ではお世話になります。」
礼儀正しい言葉遣いと共に目の前の人物にかかっていたモヤが消えてゆき、そのご尊顔を覗かせた。
その顔は、あどけなさを残しつつも妖艶さを漂わせる中性的な顔だった。
「童顔なんだね。」
「思っても口にしないのが人間じゃないのかい??」
「あ、コンプレックスなのか。」
「いや、そういうわけではないけれど……」
何故かは分からないけれど若干だが頬が紅潮している。
照れているわけでもないだろうし、惚れた腫れたなどではないだろうし。恥ずかしがる要素もない。興奮……はしていたからテンションが上がったってことなのかな?
「詮索しないでくれるかな??」
「あ、ごめん」神様でも頬が紅くなるものなんだ。あ、でもさっき笑顔っぽい雰囲気あったし感情はあるよな、そりゃ。紅くなるってことは血液が通って……
「あぁ!もう!いいじゃないか!
神様が頬を紅くしたって!
人間と会話するなんて数千年ぶりなんだよ!そりゃ多少緊張くらいするさ!
しかも相手はいつも自分の神社を掃除してくれてた子さ!どうしようもなくひねくれた話ばっかりする子だよ!
君だよ!!
色々感情が混在して頬が紅く染まるくらいいいじゃないか!!!」
怒涛のマシンガントークで僕を蜂の巣にしたところで息を切らしていた。
そんな神様の言葉を受けて僕は頭の中をゆっくり整理し始めた。
まず、タマモノマエっていう神様であるお方が僕の……ファン?で。
次に、その神様は僕の掃除していた神社に祀られていた神様で…………。
「あー、えー、マジかぁ……え、マジで……?」
「マジだよ。君、考えることにリソース割いていて会話が粗雑になってるよ。」
「え、だって、神社って、あそこの、病院のすぐ隣の?」
「……うん。」
僕は目を閉じて唇を噛みしめながら息を大きく吸った。
神社で過ごした記憶が脳裏に甦る。
人生、楽しいことなんて1つもなかったけれど、辛いことは山ほどあった。辛いことを共有出来る友人がいる筈もない。だから、僕は全てを神社にさらけ出していた。
「先に言ってくれても良いじゃん…………」
いつも神社で溢していた愚痴のようにポツリと文句を垂れた。
「いや、ほら、だって、こんな風に巡り合うとは誰も思わないだろう?」
神様の頬に雫が一滴伝う。
それは僕の脳裏に甦った記憶を読んだからなのか、この巡り合わせに感極まったのかは定かではなかった。
「人間界に身を置いたこともある下級の神様である私が辛いと感じる人生をなぜ君が耐えられるのだろうね。」
「辛いと思うのは一時的なものだから……
積み重なれば重なる程どうでもよくなる。前向きに生きることも強く生きることも、どうでもよくなる。その結果が自己嫌悪と自己否定。
僕のことを見てきたなら、分かるよね?」
神様はコクりと首を縦に振り、目を閉じて「ふぅ」と一息ついて企画の続きを話した。
主人公の過去に何があったんでしょーねー。
次回、またはその先をお楽しみください。
追伸 主人公のお名前は転生後から出そうと思っているのですが、お名前まだ決まっていないので、コメントとかしてくれてもいいんですよ?




