1話「転生日」
そのうち色々修正します。
その日は木枯らしが小さく吹く秋の朝だった。普段と雰囲気は何も変わらない。
僕は家が管理している神社の掃除をしていた。
神社と言っても小さく古ぼけた、人が寄るような神社ではないのだが、家が昔から管理してるからという理由で朝の掃除をしてから登校するのが日課になっていた。
何の神様が祀ってあるのか、幼い頃に祖父に聞いたような気もするが、あまり思い出せない。
「はぁ……息白いなぁ……」
夏もとうに終わり、気温がぐんと低くなり、秋の寒さにボヤく。
「神様も毎朝僕の顔ばっか見てて飽きたろ?ごめんなぁ……」
祠に視線を向けて話し掛ける。
もちろん誰かが言葉を返すわけでもなく、ましてや僕が霊的概念と意志疎通が出来るわけでもない。
「はぁ……今日も学校が憂鬱だよ……人と会話するのが億劫だよもう……って、ん?」
なんとなく人の気配を感じて後ろ、つまり神社の入り口の鳥居の方を振り向いた。
神社の前は横断歩道になっており、そこに少女が立っていた。
「あの格好って患者衣だよな、隣の病院の子か?」
この辺りは土地が余っており、大きな病院が数年前に建設され、患者さんが散歩がてらに神社に立ち寄ることがしばしばあった。
「こんな時間に女の子がなんで……って、そろそろ時間か。」
腕時計を一瞥し登校時間であることを確認し、ホウキなどを片付けて祠の前に置いていた鞄を取って鳥居に向かい歩く。
少女はまだ立っていた。ピクリとも動かず横断歩道の道半ばに立っていた。
赤信号ではあるが早朝であるため交通はない。けれども危険ではある。
あのー、と少し大きめに声を出し注意をしようとするが、耳に入った音が次の動きを変えた。
車両の接近音である。
車の大きさ、速度、そして運転手を見て冷や汗が流れた。
少女はまだ動こうとしない。
「おいおいおい嘘でしょ!?」
近付く車は大型トラック、速度は少女がいるにも関わらず落ちることがない。あろうことか、運転手は居眠りをしていた。
そのとき、なんで!?自殺!?居眠り!?などと、こんな疑問符しか浮かばなかった。しかし、事態は疑問符を解消する時間を許さず、僕を反射的に動かした。
僕は駆け出して横断歩道の中を立ち止まる少女を突き飛ばした。
その時、走馬灯とは違うだろうが、時間の流れをとてもゆっくりに感じた。
なんで自殺しちゃうんだろうか?
なんでここで自殺しちゃうんだろうか?
なんで僕は助けているのだろうか?
そもそもこれは人助けに入るのだろうか……?
入るのだとしたら、僕にしてはスゴいことなのでは……?
人生17年間、人付き合いが苦手でなんとなく一歩引いて自分の意見を殺してきた。
友はいたが類は友を呼ぶだけ、孤独が好きな者が多勢に紛れるために寄り合っただけ。そんな僕が人の命を助けるなんて……
「ふっ、人生なにが起こるか分からないもんだね……」
最期の言葉は自身への嘲笑となった。
突き飛ばされた少女は呆然と俺を見ていた。その瞳は、赤かった。
主人公が死んでしまいました。




