一話
今日は4月9日、俺がこれから三年間楽しく過ごす高校の入学式だ。
俺、陰山力はうきうきしながら朝の身支度をしている。そしてとても不安でしかたない。理由は小学校と中学校で常にいじめっ子に追いかけられたり、落ち着いたかと思うと僕がいじめられていたせいで誰にも声をかけられない。いや、避けられていた。そんな生活をしていたらいつの間にか僕は同い年や年の近い人間が苦手になってしまった。だけど僕はいじめてきたやつらと一緒の学校にならないように少し遠い学校を選んだ。けど油断はできない。やつら以外にもいじめっ子というものはいるのだから。まだ登校もしていないのにこうも弱気になってしまっていてはいけない。
パンッと軽く叩く。気合いを入れ直し、残りの身支度を終えて自分に言い聞かせる。楽しい高校生活が待っているぞ!!
そう言い聞かせているとインターホンが鳴った。
「はーい」
大きめの声で返事をして急いで玄関に向かう。扉を開けた先には幼馴染みが立っていた。
「おはよう!」
と僕の幼馴染み、桜彩華が言ってきたが今僕は思考停止中である。
俺が固まっているとむすっとしてきた。俺の口からは言葉は出ず、代わりに
「・・・は?」
としか出なかった。これにも訳がある。なぜかと言うとこいつ、彩華は俺と同じ制服を着ていたから。
「は?ってなによ‼せっかく私が親切にお迎えに来てあげたのに、挨拶も無し?」
「ご、ごめん。お、おはよう」
これが今の限界だった。脳内パニック真っ最中なんだもん。仕方ないよね?
「よろしい♪じゃぁ学校行こっかー」
「ちょっと待った」
俺はストップをかけた。
「どーしたの?」
と彩華はすっとぼけている。
「彩華、お前何で俺が受験した高校知ってるんだよ..」
そう、俺が受験した高校を知っているのは両親と中学の教師陣数名のはず...。
「何でって?先生に聞いたんだよ。志望校聞かれたときに力と同じとこ受けるんだーって言ったら秒で吐いたよ?今のお前の学力じゃぁ共学高校は無理だろーって」
「.....」
俺は思考が完全に、ストップした。
「だから知ってるの、って聞いてるの力?」
「........」
「力!!」
「ぅおっ!?!?」
「で、聞いてたの?」
と、軽く睨んでくる。
「途中から完全に右から左に流れてました、ごめんなさい」
「はぁ。もういいよーだ。とにかくもう行くよー」
「お、おう」
腑に落ちない。知り合いがいるのを避けて選んだのに、なぜ彩華がいるのだ。まぁいい、やることは変わらない。高校こそは、楽しい学園生活をするのだ!!気を引き締めていこうとは思ってたが、これでもっと引き締めて行かないとなぁ、と思う。僕は小中と楽しく学校生活を過ごすことができなかった。だから、だから今度こそ楽しくしたいと思う。正直彩華の考えは分からない。だけど僕の、いや俺のやることは変わらない。学校での生活を最大限楽しむ。それだけだ。今日これから、新しい一日が、一週間が、一ヶ月が回ってくる。その日々が楽しくあるといいな、充実してるといいな、と思いながら共学高校へ向けて足を動かしいた。
そういえばさっき、理由を聞いたときに先生がどうこう言っていたな。
中学校にクレームを言ってくれよう、と決意したのも同じときのことだった。
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