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第二話「街とウォームス」

 こんにちは、オロボ46です。

前回は女の子に助けられたところまででしたね。

(人格事件と比べてえらいざっくりなあらすじ......)

それでは、どうぞ。

 焚き火の中に串指しにした肉が焼かれている。

女の子......ヤヨイちゃんはそれを手に取り、私に差し出した。

「はい......どうぞ......」

「わあ! ありがとう!」

少しだけ元気を取り戻した私は串指し肉を手に取り、食べた。

「おいしい......?」

「うん! すごくおいしい!」

どんな食感だったとか、どこがおいしかったとかは覚えていないけど

確かにそんなことを言ってた気がする。


「ねえ......あなたの名前......教えてくれる......?」

ヤヨイちゃんは串指し肉を片手に名前を訪ねてきた。

「私、"サナエ"! お姉ちゃんは?」

「あたしの名前は......ヤヨイって言うんだけど......」

「"ヤヨイッテイウンダケド"? すごく長い名前だね」

「アハハ......"ヤヨイ"だけでいいよ......」

ヤヨイちゃんが笑いながら言うと、私もつられて一緒に笑った。


「そういえばヤヨイちゃん......」

「どうしたの......?」

「ヤヨイちゃんって、まるでウォームスさんみたいだね」

「......」

ヤヨイちゃんは少し暗い顔をしていた。

「学校で習ったんだけど、すごく暖かい牛さんがいるんだって。

その牛さんが街を暖めてくれているんだよ」

「そう......なんだ......」

その時の私は、ウォームスのことを牛と信じていた。




 食事を終え、ヤヨイちゃんは残った肉を集めていた。

「そのお肉、どうするの?」

「干し肉にするの......腐りにくくして非常食にするんだよ......」

「干し肉って美味しい?」

「うん。普通のお肉とは違って噛みごたえがあるの......」

そう話してヤヨイちゃんは、ふと思い出したように私に質問した。

「そういえば......どうしてあんなところで倒れていたの......?」

「......実はね」


 私は盗賊に襲われて家族と離ればなれになったことを話した。

「そうだったんだ......ごめんね......こんなことを聞いて......」

「ううん、きっとお母さんとお父さんはもう街に着いていると思う。

だから早く街に行かないと......」

「......わかった。だけど今日は暗くて危険だから......

サナエちゃんがもっと元気になってから近くの街まで連れていってあげるね......」


しばらくして、ヤヨイちゃんはコートを脱いて私に着せた。

「ヤヨイちゃん?」

「寝袋がないから......代わりにこれを着ていて......」

コートを脱いだヤヨイちゃんは、病院の検査服のようなものを着ていた。

「でも......ヤヨイちゃんが風邪引いちゃう......」

「あたし......寒いとか暖かいとかよくわからないから大丈夫......

こうしておくから、ゆっくり寝ていてね......」

ヤヨイちゃんは私に抱きついて横になった。

私はヤヨイちゃんの不思議な温もりを感じながら瞳を閉じた。




 いくつか日が流れて、

私はヤヨイちゃんのおかげですっかり元気を取り戻した。


 そんなある日

「そろそろ、街に行こう......

朝ごはんを食べたら出発しようか......

ここの近くの街なら見たことあるから......」

そう言いながらヤヨイちゃんは狩りたての肉を渡してくれた。

「いただきまーす!!」

私はそう言って肉を食べ初めた。




 朝ごはんを食べ終わった私たちは近くの街を目指して歩いた。

寒くなる度にヤヨイちゃんの手を握りながら......


「あ!! あれ!!」

私は向こうに見えるドームを指して私は言った。

「あの中に街があるの!! ヤヨイちゃん、行こう!」

「ちょっと待って......急ぐと疲れちゃうよ......」


 私とヤヨイちゃんがドームに向かって歩いていると、

ヤヨイちゃんが私に話しかけた。

「ねえ......サナエちゃん......

あたし......街の中に入ったことないの......」

「ずっと街の外で生きていたの?」

「うん......そうなるかな......

あたし......どうしても街に入れないんだけど......

街はどんな感じなのかな......って思って......」

「えっとね......ドームの中の街はビルがいっぱい並んでて、

車とかいっぱい走ってて......とっても暖かいんだよ! 

でも、私はヤヨイちゃんの温もりの方が好き!」

「ありがとう......サナエちゃ......うぅ!!」


 ヤヨイちゃんは急にその場でうずくまった。

足元を見ると、トラバサミがヤヨイちゃんの足に食いついていることがわかった。

トラバサミが食いついているところからは血と共に()()が出ていた......


 やがて、奥から人影が現れた。

その人影はあの時の私と同じぐらいの年の少年で

口にタオルを巻いていてニット帽を被っていた。

 少年は弓を取りだし、構えた。

その矢先はヤヨイちゃんに向けていた......

いかがでしたか?

次回もお楽しみに!!

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