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第一話「二十年前のあの日......」

 こんにちは、オロボ46です。

今回は二度目の氷河期後の世界を三人の子供たちが旅する冒険小説です。

(といっても一話では二人しか出ないけどね......)

それでは、どうぞ。

 机の引き出しに、懐かしい物があった。

三人の子供の似顔絵だ。

真ん中には背の高い女の子がいて、その隣には口をタオルで覆った男の子。

そして、その反対にいる女の子は......小さいころの私だった。


 私は写真を手に窓の外の世界を見つめる。

外の空はガラス状のドームに包まれていて、

さらにその外からは吹雪が吹いていた。


(初めてあった時も......こんな天気だったな......)


 そう......すべては二十年前のあの時だった......




 私が生まれる前、地球はずっと温かく、

このあたりでは四季というものを感じることができたらしい。

ところが、急に地球の温度が下がり初めて......世界は凍りついてしまった。

今の時代は......第二期氷河期と呼ばれている。

 人々はほとんどの都市を放置し、数少ない都市を発展させた。

そして、ドームに包まれた都市全体を暖める資源を手に入れた。


 その資源の名前は「ウォームス」。

牛のような姿をした化け物......

あの人と出会うまで、私はそう信じていた。




 二十年前......

七歳の私は吹雪の中を歩いていた。

腕の傷を押さえながら、体温の下がっているこの体を動かしながら......


 あの時の私は家族と共に引っ越しをしていた。

父親が商売に成功して、もっと豊かな都市に引っ越すことになっていたから。

でも、当時の街の外の道路は整備されていなくて、盗賊からの被害が絶えなかった。

 だから私たちも盗賊に襲われた。

雇った用心棒も殺されて、私は家族と離ればなれになった。


「お母......さん......お父......さん......」

雪の中で倒れて、私は父親と母親を呼んでいた。

七歳の私はおませでおしゃべりな女の子だったのに、

あの時は意識がボーッとしていてポソリとしか喋れなかった。


 やがて、母親がこちらにくるのが見えた。

「あ......おか......あ......さん」

私は母親の姿を見ながら瞼を閉じていった。


 今思えば、私に近づいた人は母親ではなくて()()()だったんだろうと思う。




 私は焚き火(たきび)の音で目が覚めた。

周りを見渡して、ここが洞穴の中だということに気がついた。

腕の傷も手当てされていた。

周りに人がいないのでとりあえず目の前にある焚き火にあたっていると、

奥から人影が現れた。

「......!?」

「あ......よかった......気がついたんだね......」

奥から現れたあの人......コートを着た女の子は私の姿を見てほっとしたようだった。


 女の子は私よりも年上で、お姉さんのような体型をしていた。

耳にピアスの穴にしては少し変わった形の穴が空いていて、

手袋をはめた左手は弓を握っていた。

「盗賊......さん......?」

私は疑いながらも女の子に話しかけた。

「安心して......あたしは人を襲わない......

ちょっと動物を狩りに行っていただけだから......

ねえ......もう温かくなった?」

女の子は私の体温を気にしていたようだった。

「少しはマシになったけど......でもまだもう少し......」

私がそう言うと、女の子は私の目の前に近づいてきた。


「ちょっと......待っててね」

そう言って、女の子は手袋を脱ぎ初めた。

「何するの......?」

「大丈夫......すぐに暖まるから」

女の子は肌を表した手で私の手を握った。


 不思議な体験だった。

女の子の手は、とても心地よい温もりに包まれていた。

寒さを感じさせなく、

エアコンやヒーターのような人工的でもない自然な温もりだった。

まるで、女の子の皮膚が太陽の温もりを吸収していたようだった......


 女の子が手を離しても、その温もりはしばらく続いた。

今度は私の(ほお)に手を置いて暖めてくれた。

「ねえ......あなた......どこから来たの?」

女の子は手をそのままで質問してきた。

「えっと......私は......」


ぐうぅ~


「あっ......」

私のお腹が唸り声を上げた。

「それじゃあ、ご飯にしよっか......ちょっと待っててね」

女の子が離そうとした手を、私は止めた。

「もう少しだけ......」

女の子は少し困ったような顔をしながらも、笑顔で私を見て言ってくれた。

「わかった......もう少しだけだよ」

女の子の手の温もりに包まれながら、

私は少しの幸福を味わっていた。





 彼女の名前は「ヤヨイ」。

ドームに包まれた街を知らず、外の世界を生き抜いている少女......


 この時の私は知るよしもなかった。

彼女が街を暖める資源......ウォームスであることを。

そして、これが少し奇妙で特別な旅の始まりであることを......

 いかがでしたか?

 今のところ三話目まで書けているので、

しばらくは一日一話投稿できると思います。

 それ以降はほぼ不定期投稿ですので、

忘れたころに見てくださいね。


 次回もお楽しみに!!

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