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2話 伊治呰麻呂(これはるのあざまろ)って知らないけど仕官してみた

バイクで伊治城へ行くには北上川沿いを北上し、途中から迫川へ進んでいけばつくそうだ。

地理的にはまったくわからないが「これはる」→「くりはら」の発音に似ている気がするので今でいう大崎市(旧古川市)の北の栗原市周辺なんじゃないかと思った。


川沿いは馬が行き来するのか土が踏み固められておりなんとかバイクでも走る事ができる。

昔「キリン」というマンガで砂利道をオフロードバイクより速く走るモヒカンがいたことを思い出しながら走った。

周りの風景はというと本当に何もないのどかな風景である。水田や畑もほとんどなく広大な草原が広がっていた。本当にこんなところに城があるのだろうか。

牡鹿から伊治まで行く途中に「のの岳」という山があるそうで、その周辺で今も砂金採りが盛んに行われているそうだ。

北上川もあるので交通の便もいいのだろう。


しかしイノテに言わせると金は朝廷に献上し大仏の建立に使われているらしいが蝦夷は仏教徒ではないとのことだ。

自然を愛し木や土、空や海等の自然を崇拝することが代々伝えられているらしく、どうも仏教とは合わないようである。


おれは特に宗教とか興味なかったし、日本は宗教が特に無い国だと思っていたけれどこの時代まで遡ると今では当たり前に感じられている仏教も珍しい存在だってことだ。


イノテが言っていた

「我々は蝦夷えみし俘囚ふしゅう等と言われていますが自分たちの事は『アラハバキ』だと言います。信仰の対象は自然であり『アラハバキの神々』なのです」


なるほど、よくある木とか自然を信仰の対象とする昔ながらの宗教なのかななどと思いながら話を聞いていた。時代背景がなんとなくだけどわかった気がしてきた。


そんな話を思い出しながらバイクを走らせること1時間以上は経っただろうか、迫川の左手に「のの岳」らしき山を見ながらそこで大勢の人夫が働いているのを横目に、馬が駆けるごとく伊治へとやってきた。

さすがに金の採掘だから警備も厳重なはずである、ちょっと見ていきたかったけどまずは伊治へと赴いてそれなりの人物と謁見してみたい。


おれの着ている革ジャンやヘルメットがどうやら蝦夷の革の装備に似ているらしく、パッと見上流階級の武士に見えるかもしれない。というかこの時代に武士はいないのか。


伊治城は城というより柵で囲まれたちょっとした砦という感じであった。

なんて言って仕官の申し出をしようか考えているうちに門番がらしき兵卒がおれのバイクに興味を持ったようで近寄ってきた。


「貴様何奴!」


と言われるのじゃないかと思ったがただ不思議そうにバイクを眺めているだけだ。

「あの、ここで働きたいんですが道嶋家の者から兵士を募集していると聞いて…」

と低姿勢で聞いてみるとどうも歓迎されているらしく場内に入れてくれた。

門番の兵士が蝦夷にしては珍しい出で立ちだなと言って来たが、これは最新の武具なんだよとごまかしておいた。


「今アザマロ様がお見えになるからちょっと待っていなさい」

よし、さっそくこの地方の実力者であるアザマロに会えるぞ!

立身出世してやる!と思いつつも一応自分の同族?である東北人、蝦夷と戦うことになったらちょっと嫌だなとも思った。

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