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運動会

作者: 小町

 種々様々な金魚が供宴する中、私はそれを見ているだけだった。

 金魚は、一生懸命かつ優雅にヒレを動かし”エサ”を求めてひらひらと舞う。彼らは周りに合わせて踊り、その踊る周りを見てさらに踊り狂う。踊りは極限を向かえて行き、狂気さえ感じる。

 色鮮やかに輝く彼らは、私から見ても美しい。ひらひら舞うヒレには儚さを感じ、不規則に舞う身体には生命を感じることができる。

 そんな彼らには、楽しいという喜びだけがあり、アツい熱が周りを覆う。そして他者と自己の感情が一体化していく、時が経つにつれてそんな感覚を彼らは共有する。地球がココを中心に回ってるという錯覚すら覚えている。

 周りには自分達の群れしか見えず、省みることも無い。群れ以外の他者を徹底的に排斥し、他の者が入り込むのを嫌う。

 そんな彼らに対して私には、羨ましいという感情も確かにあるが、見下す感情もあった。

 なぜなら彼らは自由ではあるが、それもこの水槽という限られた中だけの話。少し状況が変われば、すぐに崩壊する儚いモノ。温度が変われば、水質が変われば、エサが少なくなれば、この供宴は一変してしまう。供宴は終焉を向かえて対立が始まるかもしれない。

 一方、彼らに比べ自由な私。しかし彼らにとって私は、彼らが描くモノの余分を消した時に出る、消しカスを集めた歪な存在。じきに忘れられる存在にすぎない。

 だから私は黙って、彼らから流れる汗を吸うタオルを眺めていた。

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