プロローグ
昔、この世界には赤、青、黄の三つの勢力が存在した。
それぞれ火、水、雷を主軸とした能力を有しており、度々領地問題で対立し戦争を繰り返していた。
長い年月が流れたある時、緑の勢力が現れた。
どうやら青と黄の領土の境界で出現したらしいその勢力は補助能力に非常に優れており、三勢力はこぞって自分側に取り入れようと働きかけた。
緑の最終的な結論は、どこの勢力にも属さずに独立した勢力となることだった。
三勢力もこれが最も公平であるとしてこれに反対はせず、緑は青と黄の境界に領土を築いた。
ーーー・ーーー
「...ここまでが、中世の出来事。分かりますね?」
「えぇ。誰でも小さい頃に本で読んだことあるんじゃないかしら」
小さな部屋の中。赤い髪をした長身の男性と、同じく赤い髪の少女が向かい合う形で椅子に座っている。
「それじゃあ、この後の出来事も?」
「勿論。紫の勢力が赤と青の境界で出現して、それも独立を宣言。青は自身の領地だけ二つの勢力に分け与えられて不公平ってことで赤、黄と交渉。でもそれは決裂して戦争に...でしょ?」
「流石はロート家のお嬢様だ」
「こんなの常識よ」
鼻を鳴らし、しかしどこか嬉しそうに少女が答える。
「それでは、緑の出現は何年前でしょうか」
「200年前ね。紫が、確か、100年前?」
「どちらも正解です。……お気づきかと思いますが、新勢力というものは100年ごとに現れているのです」
「そうね。つまり今年は」
「そう。もしかすると、新たな色の勢力が出てくるかもしれない年です」