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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
暗転の章

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現実世界にて<副作用>

「馬鹿ッ! まだ安静が必要だ!!」

 良平が扉の前で保を止めた。

「まだ古瀬さんは目覚めてない。目覚めたら悠里が知らせてくれることになってる。……少し落ち着け」

 オコサナキャ。オコサナイトナニモシラナイママダ。

 焦点の合わない目で、虚ろに話す保に良平は少しばかり恐怖を覚えた。

「さっきまではなんともなかった……」

 正芳までもが驚いている。

「おそらく無理矢理ヘッドギアを外した反動だろう。一日眠らせたほうがいい」

「はい」

 義父の言葉に良平はすぐさま実行に移そうとしたが、予想以上の力で抵抗してくる。まさかこんな事がおこると思っていなかったのだ。

 ヘッドギアの不良という事故はまったくといっていいほどない。あったのは一昔前だ。その文献を良平が調べようとした時に、義父は「私が知っている」と言って今回の事に立ち会ったのだ。

「ヘッドギアは命綱のようなものだと解釈してみるといい。命綱のないまま高いところから落ちたらどうなる? 最悪死に至る可能性があるということだ。死ななくても植物人間のようになった者もいるし、精神を病んだ者もいる。現状の保君は精神を病んでいると言っても過言ではないと思う」

 どんな手段を用いても美玖を呼び覚ましたかったという保。その代償がこれとは、あまりにも酷すぎる。

「煩い方たちもいらっしゃらないし、お二人を同じ部屋にした方がいいかもしれませんね」

 義母が美玖のいる病室から出てきて言う。

 美玖の姿を見るなり、保は病室に入っていく。そして、美玖のベッドの傍に座って大人しくなった。

「お父さん、先程のお話を調べた方がいいかもしれませんね。もしかすると母親の方は子供を失ったことによる心身喪失で、罪に問われなくなる可能性があります。その情報を逆手にわたくしたちが引き取れないかしら?」

 引き取ることを前提とした話なのだ。だからこそ、「わざと」心神喪失にするつもりなのだろう。

 義両親の思惑に、良平は頭が下がった。

「あれが本性だったらどうするつもりかね?」

「あら、簡単でしょう?取引(、、)をすればいいだけです。それから溝内のお父様が仰ってたけど、どうもご夫婦に不明なお金が入ってきてるんですって。一人当たり毎年百十万ほど」

 その言葉に義父が難しい顔をした。

「嫌な数字だね」

「?」

 意味が分からず、良平と正芳は顔を見合わせた。

「贈与税の非課税額だ。毎年百十万までなら、贈与税を払う必要も申告する必要もない。さすがに相手先までは言って行かなかっただろう」

「名前は仰っていませんでしたが、他県の病院のようでしたよ」

 ふふふ、と笑う義母に良平は恐ろしさを感じた。

「他県ねぇ。大体想像つくんだが」

 義父も不敵に笑っている。悠里を無理矢理ゲームに誘ったあの時ですら、ここまで怖くなかったと記憶している。

「……オレラナニモキイテマセン」

「そうだね。私の独り言が大きかっただけだ」

 その対応が正しかったようで、義父はすぐに病院を出て行った。


ヘッドギアを無理矢理外した時の副作用はあくまで想像です。悪しからず。

そして、贈与税非課税枠の百十万は2015年現在の話です。


パパンとママンが怖い!

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