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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
暗転の章

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現実世界にて<とある夫婦の幕切れ>

「保!!」

 がばりと起き上がった保を正芳が止めた。

「お前半日昏睡状態だったんだ! 少し大人しくしてろ!」

「……美玖、は?」

 悔しそうに正芳が首を振った。

「……うそ、だろ?」

 計算に間違いはなかった。そして美玖と話をした。それなのに……。

「親御さんが怒って、別室になってる。まだ、お前とケーブルは繋げたままだ」

 それ自体も「念のため」保と正芳が用意していたのだ。

「保は起きました。こちらは外します」

 正芳が隣の部屋へ連絡を入れていた。

「……ばあさん、呼んでくれ」



 千沙が入るなり、保は単刀直入に聞いた。美玖に弟はいたのかと。


 その言葉に、千沙は黙ってしまった。おそらく本当にいたのだろう。

「といっても、産まれる前に死んじゃったんだけどね」

「美玖は弟を殺したのは自分だと言っていた。親に言われたと」

 次の瞬間、千沙の顔は鬼のようになった。

 そして、凄い勢いで病室を出た。

「穂波!! あんたって子は!!」

 間もなくばちん、と凄い音がした。

「あんたは、おなかにいた子供のことまで、美玖ちゃんのせいにするのかい!? あれは事故だよ!」

「事故なんかじゃないっ! あの時産まれてきてたら、あたしは肩身が狭い思いをすることなんてなかった! 全部あの子のせい! あの子があんなところに行ったから、死んじゃったの!!」

 ひたすら美玖を罵る美玖の両親。自分たちは悪くないという、それだけが二人のよりどころだったのかもしれない。

「お前がっ! 余計なことを言うからこうなるんだ!」

「あたしのせいだって言うの!? 美玖の頭からヘッドギアを取ったのはあんたじゃない!!」

 警察がいるというのも忘れて、二人はお互いを罵りだした。

「……まぁまぁ。署でお話を聞かせていただけますか?」

 この声は……良平の父親だ。

「今の話をとても詳しく、ね」

 声を聞いただけで保と正芳は背筋が凍った。やっぱりあのおっさんこぇぇぇ!! 二人は同時に思った。おそらく美玖の両親は動けないだろう。

 ばたばたと走るような音と、誰かを殴るような音が聞こえた。

「公務執行妨害も含めて逮捕します!」

 晴香の澄みきった声が響いた。


 これで美玖が目覚めてくれれば解決だ。


 ふらふらとしながら、隣の病室へ向かった。


存外あっけない二人でした。

ってか、警察の前で色々しすぎ。モニター壊したり、興奮したり。

あくまで二人は小物的扱いでした。


美玖、よく擦れずに育ってくれた(しみじみ)

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