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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
暗転の章

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美玖を捜す

 保は自分の意識がおかしくなるのが分かった。あの時、美玖におきたのがこれだと、瞬時に分かった。

「どこにいる?」

 水面を歩く感じがするのは、何故だろうか。


 保が組んだプログラムは、美玖の脳波と保の脳波をシンクロさせ、美玖のいる世界に飛ぶというものだ。

 飛ぶ、という言い方もおかしいと思うが。


 大学時代の恩師にも久しぶりに会い、理論上可能かどうかを聞いた。

 教授の答えは一つ。「理論上可能だが、お勧めはしない」と。


 その答えだけで十分だった。運営会社に連絡を取り、この実験を了承させた。万が一、保に何があっても運営会社側も病院側も一切の責任を負わない。その誓約書に保はサインをした。


 ぴちゃん、ぴちゃんと遠くから水音が聞こえた。

 走ろうと思っても走れない。……プログラムが上手く動いていないのだろう。

「カナリア」

 そう呼んでしばらくしたあと、水音が止んだ。

「カナリア」

 もう一度その名前を呼ぶ。

 ゆっくりと水に足を取られないように歩いていく。

「……見つけた」

 自分の前から消えたあの日と同じ姿のままのカナリア、否、美玖がそこにいた。


「……ジャッジ……さん?」

「あぁ」

 不思議そうに首を傾げる美玖に、保は頷き近づいていく。


 手が触れそうな距離になると、美玖は逃げていく。思わず追いかけ腕をつかんだ。

「捕まえた」

 そして強く抱きしめる。

「どうして?」

「カナリアを捜しに来た」

「もう、会えないのに?」

 ウサミミが垂れたままだった。

「それって、どういう意味だ?」

「だから、高校卒業したら……」

「その話は白紙になるはずだ。カナリアの両親は刑事責任を問われる形になると思う」

 その言葉にカナリアが驚いていた。

「だとしたら、私も問われるはずです。小さい頃私は弟を殺したそうですから」

「それは、誰が言っていた?」

「両親です」

 どこまでも苦しめたいのか、あの親たちは。そう思うだけで保は苛立ちを抑えられなかった。

「……それ、調べてみないか? 本当かどうか」

 今までの状況であれば、嘘の可能性がかなり高いのだ。

「でも……」

「本当に弟がいたのか、そして死因はなんなのか、全部カナリアが調べればいい」

 それに、不慮の事故であった場合もあるのだ。

「……ありがとうございます」

 静かに微笑む美玖を保は見つめていた。

「そういや、自己紹介してなかったな。俺は野々宮 保。フリーでSEとかをやってる」

「私は……」

 美玖の自己紹介は水音にかき消された。


 どうやらタイムアウトらしい。

「絶対俺に自分から名前言えよ!」

 そう叫ぶのが精一杯だった。


少しばかりご都合主義でございます。


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