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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
暗転の章

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現実世界にて<良平の決断 その1>

一つにまとめるには長めなので、二つに分けて同時投稿させていただきます。


 翌日。溝内は学校に行って美玖が来ていないことを確認した。

「やっぱりか」

「どうかしたかね? 溝内先生」

「教頭先生……」

 昨日の段階である程度の合図が決めてある。富岡教頭と呼んだ場合は問題は軽度。教頭と呼んだ場合は問題が重度、と。


「しばらくゲームへの参戦はご遠慮願います」

 会議室で二人きりになってすぐ、良平は教頭へ伝えた。

「どうして!?」

「現状、私が主催してるギルドは締め切っている状態です。運営会社からも暗にそうするようにと言われています」

「そこでないと無理なわけだね、今回は」

「えぇ。そして古瀬さんが今日欠席。急ぎ家庭訪問をしようと思っています」

「担任の了承は?」

「とうの昔に。匙を投げてますから」

「担任の方が君よりも年上なんだがねぇ」

「……私のほうが問題を抱えてきたレベルが違うんでしょうよ」

 さらりと言う教頭の言葉に、良平は半ば嫌味を返した。


 そりゃあ、今まで色んなところを渡り歩いている。それこそ素行があまりよくない生徒ばかり集まるところや、逆に生気のない顔をした進学校まで。そんなところばかりではないが、教員になって十年ちょっと。あまりにも実績を作りすぎた。まぁ、一番はこの学校であるが。ゲームしかしないような生徒に勉強をさせたり、浮いた様子の生徒の面倒見たり。歳が近いこともあり、生徒たちは良平に懐いたのだ。


 良平なりに、試行錯誤の繰り返しだった。保護者に文句を言われた時もある。その時に世話になったのが、今の教頭、当時の学年主任だった。「君は好きにやればいい。責任は僕が取るから」と背中を押してくれたのだ。現在この年齢で学年主任を任されるようになったのは、ひとえに現教頭のおかげだろう。


「さて、保護者に連絡の上、訪問させていただきますか」

 こうして現実世界での道筋が決まった。



 保護者に連絡を取るものの、のらりくらりとかわされた。

「ええ。今回は希望者だけなんですよ。そういた場合に無断欠席されますと、他の生徒の士気にもかかわりますので」

 表向きの理由だけを向こうに伝える。具合が悪いだの、なんだのと二転三転している。

「だったら、本日使ったプリント類をこちらでお持ちします。具合が悪いのでしたら、しばらくそうさせていただきます」

 その瞬間、慌てふためく母親の声。これは何かある。良平は教頭を見ると難しい顔をして頷いた。

「我々から、民生委員に連絡を。虐待の可能性があると」

「既に連絡済です。あとは市役所の対応になるかと思います」

 晴香が先に気付いてくれていてよかったと思う。


虐待疑ってもおかしくないよね、というのを書きたかったのです。

実際、美玖は言葉とそれから「無関心」という名の虐待を受けていると思います。

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