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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
悪意のレイド

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久しぶりの逢瀬

 付き合い始めてから初めて、長い日数をカナリアに会わない日が続く。これが、またしばらく続くというのだから、ジャッジはかなり滅入っていた。

 重症だ、と自分でも思う。現実世界で会ってしまったら、しばらく離したくなくなるのも目に見えているため、自重しているに過ぎない。

「ジャッジさんっ」

 嬉しそうなカナリアの声が聞こえてきた。とうとう幻聴まで聞こえてきたか。そう思うと虚しくなってくる。

「ジャッジさん? どうしたんですか?」

 ふわりと目の前に広がる幻覚。そこには先日町で買った服を着たカナリアが立っている。

「俺もやばいかも」

「ジャッジさん!?」

 慌てたように聞こえる、カナリアの声。

「なんか、幻聴に幻まで見てる。……早く盆休みなんて終わればいい」

「どうしたんですか? ジャッジさん。幻聴とか幻とか」

 そう言ってカナリアの姿をした幻はジャッジの頬に手をあてた。

「幻……じゃない?」

「ほえ?」

 不思議そうにこてんと首を傾げるカナリア。思わずジャッジは抱きしめた。

「ジャ……ジャッジさんっ!! 痛いです」

「あぁよかった。本物のカナリアだ」

 セーフガードがあるため、キスは出来ない。その分カナリアを抱きしめて実感しようと思った。

「で、どうしてこうなったか説明してくださいっ!」

 まだ抱きしめ足りなかったが、じたばたともがくため一度カナリアを離すと、ぷうッと膨れてカナリアが説明を求めた。


 説明をすれば、カナリアは耳まで(勿論ウサミミも)真っ赤にして、恥ずかしくなっていた。それも可愛いと思うし、先程の膨れた顔も可愛かった。

 ジャスティスとかが見ていたら、どん引きしただろう。そして己の鼻のしたが伸びまくっているのも、見当がつく。

「で、どうしてカナリアはログインできたんだ?」

 そう訊ねれば、凄く不服そうな顔で説明をしてきた。


 無理矢理従兄に車に乗せられたこと、そして到着した部屋にいたのはレイだったこと、そしてレイの持つヘッドギアを借りて今はログインしていること。

 これを聞いただけで、ジャッジは愕然とした。

 ディッチから聞いた話が頭をよぎる。もし、従兄が、カナリアがこのゲームをやっていると親に言ってしまえば、二度とこのゲームが出来なくなる可能性すら秘めているのだ。

「……カナリア」

「今日、一日一緒にいてもらっていいですか?」

 おそらく、カナリアもその不安があるのだろう。ジャッジは微笑んで、カナリアを抱きしめた。



 それから間もなく、ギルド本部に呼び出しがかかった。


やはり、カナリアが絡むとジャッジがただの変態になる件についてw

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