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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
悪意のレイド

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報告と分配

 食事を取っていると、ぴこん、と全員のスマホとタブレットが鳴り響いた。

「?」

「ギルドからの連絡だろうな。今回の一件についてだ」

 食事をしながらディッチがタブレットを操作する。

「緊急クエスト自体への人為的なものは、証拠が見つからなかったそうだ。だが、緊急からレイド戦への移行は人為的と認められた。それに、俺たちが予想していたとおり、あいつらは俺らが『死に戻り』で出てくる場所にやつらの仲間が張っていたそうだ」

「PKと取られてもおかしくないのでは?」

「PKってのはプレイヤーキル、もしくはプレイヤーキラーと呼ばれるものだ。他のPCを攻撃して経験値とアイテムを稼ぐ方法だ。もっとも、『TabTapS!』では経験値は得られない仕様になっているが」

 ジャスティスの言葉をジャッジがすぐさま説明してきた。

「ジャスの言うとおりだ。しかも俺たちが『死に戻り』をした場合、ここにアイテムの強奪に来る予定の部隊までいたらしい」

 ディッチが嫌なことばかりを羅列していく。

「完全なPKだろ」

「ディス。だからこそ今回運営側はトールたちへのペナルティを考えている。『深窓の宴』にもペナルティはいくだろうな。追放が遅すぎた」

「自業自得。元『深窓の宴』のメンバーにもいくんでしょ?」

「そう。しばらく『深窓の宴』は相手に対して名指し依頼を出来ない。今受注されているものも、キャンセル扱いでいいそうだ。引き受けるかどうかは、受注主に任せるとまで言及されている。それから、『深窓の宴』への依頼も不可。そして『課金限定クエスト』、一部『通常クエスト』、レイド戦、緊急クエストへの参加不可。

 ……ここまでが現在決まった決議だ」

「じゃあ、俺は引き受けたやつを取り消す」

 ジャスティスが言い出した。それに対してディスカスまでもが賛成し始める。

「運営側も後手に回りすぎだからな。この町のカウンター業務さんたちが頑張りすぎたのもあるが」

「おかげで、カナリアちゃんや今町にいるPCたちは被害にあわなかったんでしょ?」

「レットの言うとおりなんだが……他の町にいるLV五十以下のPCがかなり騒ぐ要因になりそうだ」

「……まぁ、そのあたりは運営に頑張ってもらうってことでいいんじゃないか? 俺らが考えたってどうしようもないし。それよりも分配しようぜ」

 ディスカスがディッチを慰めるように言っていた。


 今回はカナリアが今までお目にしたことのないモンスターがたくさんいた。おかげでLVが五十になったのだ。

「カナリアちゃん、おめでとう!!」

「スカーレットさん、ありがとうございます。これでアクセサリーに使用できるアイテムが増えます!!」

「……相変わらずぶれない子だな」

 カナリアの言葉にディスカスが呆れたように呟いていた。

「ドラゴンレザーは?」

「俺がメイン。ディッチは?」

「いる。飛行機に使ってみようかと思ってる。カナリア君は?」

「私は……アクセサリーに使えそうもないです」

 そういった瞬間、ディスカスがドラゴンレザーから鱗を取り始めた。

「あ、竜鱗はあたしが貰う。……多すぎるけど」

 両手サイズくらいの大きさがある鱗がカナリアの傍まで飛んできた。大きさの割に薄く、透き通っていて、七色に光る綺麗な鱗にカナリアは目を奪われた。

「これ、私も貰っていいですか?」

「うん? 何に使うんだ?」

「細かく切ってアクセサリーに使ったら綺麗かなって。それにセバスチャンに渡すネクタイピンにこれを使いたいなって」

 硬さもあり、かなり丈夫だ。

「鱗自体にDEFとMDFが付加されてるからね。だけど、錬金をかけるとそれがかなりアップする」

 スカーレットがすぐに説明してきた。その代わりにこの光が失われるらしい。

「このまま、使います。数枚張り合わせてタイピンの厚さにして、使いたいです」

「……そういう使い方もあるのか」

 驚いたようにディスカスも言う。

「鱗は一頭分あるんだ。二人で分けても問題ないだろ」

「そうだね。あたしは錬金用に。カナリアちゃんはアクセサリー用に。丁度いいね」

 スカーレットが笑っていた。

「ちなみにね、竜鱗を使いまくったアイテムが傍にあるんだけど、どれだと思う?」

 にっこり笑ってディスカスが言う。ディスカスが言うということは、武器なのだろう。

 この注射器? いや、さすがにそれはない。他の人の武器はどんなものだっけ? そう思ったが、思いつかなかった。

「正解は、ジャッジの銃と俺のハンマー。二つとも錬金されたものを使用している。ジャッジのやつなん表面は全て竜鱗だぞ」

「!!」

 一番見慣れた武器が竜鱗で出来ていたことに、カナリアは驚いた。

「下手な金属を使うよりもメンテナンスが楽なんだ。……現実世界じゃありえないけどな。というわけで、カナリアが竜鱗でアクセサリーを作るなら絶対に必要なアイテムをLV五十の祝いにあげるとしよう」

 そう言ってディスカスが渡してきたのはやすりだった。

「普通のやすりじゃ、竜鱗は削れない。これは錬金された竜鱗用にレットに作ってもらった特別製だ。セバスのタイピンを作るくらいならこれ位あれば十分だと思う。足りなかったらレットに頼めばいい」

「ありがとうございます!」

 それにしても、とカナリアは思う。

「ドラゴンのお肉って食べれるんですか?」

 その場にいたカナリア以外全員が飲んでいるものを吹いた。


ちなみに、ドラゴンの肉は基本錬金用素材です。

カナリアの中ではお肉=食べ物という感覚しかありません。

味はどんなものなのかは誰も知りません。


このあと、さすがのセバスチャンも料理スキルが足りないため、ドラゴンの肉を食材にするのを諦めたというオチがあります。

セバスチャンにとって、次なる目標は「ドラゴンの肉を美味しく調理する」だとかw

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[気になる点] ドラゴンステーキ……じゅるり(*´-`)
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