トールの終焉
リーダーの登場に、トールは思わず舌打ちをした。
「トール。これ以上問題を起こすなと言っただろうが」
上空から冷たく宣言を始めた。
「今回、この町に起きた緊急クエスト自体が人為的であると運営側から報告があった。そして、その後のギルド戦への突入、妨害行為は『深窓の宴』でも証拠として運営側に渡す。
トールはクランから追放する」
その言葉にトールに従う男たちが意義を申し立てた。
「不服なら去ればいい。ギルド幹部全員の承認を得た決定事項だ」
「今までの功績はっ」
「そんなもの、とっくに帳消しの上マイナスだ。それくらいのことを今までしでかした。……ついでに言うと、今回の事件で一番怒っているのは俺じゃない。……シュウだ」
その次がサイレン。明言したギルマスに周囲がざわついた。
サイレンは黙っていてあとで爆発するタイプだ。それ以上にシュウが怒りに身を任せるというのが、分からない。シュウも強さを求めるという点ではトールと同じだからだ。
「いい加減にしろ。トール」
怒りを伴った声でわって入ってきたのは、シュウだった。
「さすがに今回のことはやりすぎだ。町ひとつを壊滅させるという方法はいくら俺でも許せない」
「……シュウ」
同い年で、近い環境にあるシュウの一言。
「お前の尻拭いはもう勘弁だ」
それだけ言ってグリフォンを駆る。行き先は北門。ウサミミナースたちがいたところだった。
「くそっ」
何故失敗した? その悔しさと、己のプライドがトール自身を潰していくことになる。
元サブリーダー、クラン「深窓の宴」追放。
それは「TabTapS!」上だけでなく、ネット上でも瞬く間に広がった。
それまでトールが出入りを禁止されたVRMMOは勿論、イエローカードのみを受け取り、ほとぼりを冷ましているところ、まだ手をつけていないゲームにまで及ぶこととなり、波紋を広げていく。
トールは我侭を通り越した自己中な男です。
あっさりと退場いただきました。
ゲームは楽しく!
そして、他の方への妨害は駄目です。
そのうち、この話の元ネタをエッセイでも書きたいと思います。
あ、妨害は受けてません。別のことを受けそうになっただけです。
周囲のおかげで事なきを得ましたけど。




