表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
新素材発掘の旅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

421/434

捕獲方法

いつもありがとうございます。お待たせいたしました!


 願い事に他のプレイヤーたち気を取られているが、「カエルム」だけは違った。

「捕獲できねぇぇぇ」

 そうわめくのはディスカスだ。本日六度目の死に戻りをしたばかりである。アイテムをほとんど持たずに挑戦してよかった、そう思うのは参加者全員である。


 近づくだけで死に戻りなど可愛いもので、気が付けば気が付けば死に戻りをしており、理由が分からないまま戻って来て、身体についていた糸くずで再度死に戻りという場合もある。

 攻略サイトでも「クリアさせる気ないだろ」とか、「願い事叶える気ないだろ」と叩かれているが、当の運営サイトは「出来ないものを出来るとは言いませんよ」と返答している。


 ジャッジたちまで切り刻まれている時点で、「カエルム」に対するバッシングはなかった。

「あたしたちの所にも来ましたよ、スカウト」

 けたけたと楽しそうに笑うのはリリアーヌだ。何でも「一緒に願い事を叶えましょう!」と言ってきたらしいが。

「今いるペットで十分だから、お断りしたけど。美玖ちゃんの所にも来たって」

 がたん! ジャッジが殺気を出しつつ立ち上がった。

「美玖はきちんと断ったから大丈夫だよ。『蜘蛛さんを飼うつもりはありません』って」

 それを聞いた数名が、ヒントを得たと嬉しそうに戻ったらしいが。

「カナリアとしては、どう思ってるんだ?」

 ジャッジの問いにカナリアは少し思案してこう答えた。

「蜘蛛さんに興味ないです。ジャスティスさんとスカーレットさんの所から納品されるシルクだけで充分です」

 相変わらずカナリアは素材以外に興味はないようである。


 余談だが。その蜘蛛の糸、実はドラゴンのブレスであっさり無効化できたらしい。

 蜘蛛の巣を焼いた時点でスパイダーも討伐されてしまうのが難点だと、気づいたジャスティスがぼやいていた。


 ジャスティス(お前)も大概ずれているな。そんなことをディッチは思ったが、あえて口に出さなかった。



 これにヒントを得たとあるギルドが、スパイダーを捕獲できたらしい。

 そこのギルマス曰く「ドラゴンブレスで焼ききれるなら、火炎放射でも大丈夫かなって」ということだ。

 まず、スパイダーをおびき寄せ、巣のあった場所を燃やすという、単純なもの。今までだって同じようなことをやっていたはずだが、巣を燃やすとバーサク化して始末に負えなかったはずである。

「それが……今回『深窓の宴』との共同クエだったんですよ。で、向こうがおびき寄せ班だったんですけど、巣が燃やされた時点であっという間にバーサク化しまして……」

「『深窓の宴』メンバーを死に戻りさせたと?」

「早い話が。そこで一度バーサク状態が終わりまして、スパイダーシルクで慣れた職人が捕獲したんです」

 ということらしい。「深窓の宴」に関しては、自業自得としか言えない。何せ、またしてもごり押しで火炎放射を押し付けたらしい。言質はとってあるので、問題ないとのことだった。

「ご苦労さん」

「いえいえ。……で、ここはひとつカナリアさんのAI、セバスチャンにあやかろうかと」

「『カエルム(うち)』まで来たのは、それが理由か」

「はい。飯作れるのがいないもんで」

「……お前さんのところはなぁ」

 赤裸々な話をぶつけられたディッチは頭を抱えた。


前回の「使役獣の反乱」で最後までバーサク化が収まらなかったギルドだ。テイムしたモンスターに乱暴を働いていたわけでもない。一つ言うなれば、誰一人料理が出来なかった。

 それこそ、クィーンや他のプレイヤーがどんなに教えても、何故か出来るのは「毒」。さすがのクィーンも匙を投げた。

 結局、ギルドメンバーが作ったものと、セバスチャンが作ったもの両方を出して、事なきを得たのは記憶に新しい。

「取りあえずそれでテイム出来て、新素材出来たら『カエルム(うち)』に回してくれると助かる」

 カナリアは使うつもりはないようだが。

「錬金とかにも使えたら、姉御が喜びそうですよね」

「つか、俺らの中で喜ばないやつはいないぞ。糸でトラップとかロマンがあるだろ」

「それを公言できるディッチさんも凄いと思いますが」

「俺らだからな」


 結局、セバスチャンの飯である程度スパイダーを手懐けることはできたが、あっという間に昇天してしまったらしい。

「今度俺らがおびき寄せ役やるから、もう一回火炎放射やってもらえんかね」

「いいんですか!?」

「前のクエストを踏んでいるとなると、火炎放射役は固定しておいた方がいい気がするんだよな」

 そんな予感がする。ギルドに戻り、その旨話してあっという間に方法が決まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ