非常識親子の戦い 5~巻き込まれる人たちの災難~
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初級魔法ではあったが、クリスはリフレクできない魔法を開発した。
「ざけんのもいい加減にしろ! クリス!!」
ジャッジのタイピング速度がすぐさま速くなる。リフレクできないなら他の方法をとるまでである。
そのヒントになったのはカナリアの「魔法ってボールみたいですよね」という言葉だったりするのだが。魔法に、「ファイヤーボール」とか「ウォーターボール」という名前があるように、確かに魔法を球ととらえることは可能である。
やったことと言えば、魔法と剣による「野球」だ。
「My dear sonも非常識な考えをするようになったね」
「逆転の発想と言え!」
ピッチングマシンよろしくクリスに魔法を放たせ、ジャッジが打っている。
観客側は、先ほどと何が変わったのか全く分からなかったりするのだが。
そんなことはクリスもジャッジも気づいていない。気づいているジャスティスとスカーレットは突っ込む気力もない。
どこからどう見ても「似たもの親子」なのだ。
「……打開策ないんだけど」
「ジャッジの打った魔法キャッチして『アウト――』ってのは……」
「さすがに無理だろ。ってか、魔法を素手で取れると思うな」
「ジャスなら取れると思うんだけど」
「あいつ、速度つけて返してるから、速度によるダメージ受ける」
「えげつなっ」
ジャスティスとスカーレットはそんな話をしていたりする。それくらい余裕はある。二人の戦いに手を出せないだけで。
「なら球を大きくしようか!」
「だから何だ!! って、リース避けろ!」
とりあえず当たったら爆破するタイプの魔法をクリスが放った。それを瞬時に悟ったジャッジが、すぐまさリースに指示を出す。
ならばとクリスは「追尾」スキルを使ってくる。
それに対抗すべく、ジャッジは「影」スキルを発動させたり、岩に誘導して防いでいる。
そしてそれをまた封じるべく、クリスが動く。
「なんか、漫画の強さインフレ見てる感じがする」
「同感だな。俺らの出番がなくなってきたぞ」
「休憩行く?」
「そうするか」
そんなわけで、最後まで残っていたジャスティスとスカーレットもお茶を飲むためカナリアのところに向かった。
そして、そこまで話を聞いたディッチは頭を抱えた。
「非常識親子が」
昔の野球漫画じゃないんだから、炎を纏うボールとかは嫌だぞ。そんなことをディッチは思ってしまう。
「兄貴、打開策ってある?」
「思いつくなら、とっくに戻ってやってるわ! やれてせいぜい足手纏いにならないようにするしかねぇわ!」
これほどの能力を今までどうして隠していたのか。その力を使えるほど、ディッチたちを信用していなかったというのか。
「全員手伝え! クリス倒すぞ!!」
今度は何をしでかした!? その言葉を飲み込んで、ディッチは頭を抱えながら腰をあげた。
魔法による野球……嫌だ。




