プレイヤーの心配
いつもありがとうございます。
遅くなったうえに短いです。
そんな禰宜田家の事情などつゆ知らず。
カナリアたちは「TabTapS!」にログインしていた。
いまだ名月のクエストがあるらしく、カーティスたちに依頼されたのだ。
「と言いましても、今までと違うようなんですが」
カナリアの持ってきたお茶式セットを喜々として使いながら、カーティスが呟く。
「違う、とおっしゃいますと?」
ユーリの質問に、カーティスが頭を悩ませていた。
「正直私たちもよく分からないんですよ。公式発表も『今までと違う名月クエストを楽しもう!』ってしか書いてないわけですし」
「ひょっとして、名月クエストの代替えが決まってねぇとか」
クリスならやりかねない。ジャッジがとんでもないことを言い出した。
「正直に言うと、私たちも分からない」
あっさりとクリスが言う。
要約すると、「名月クエスト」をプログラムしたプログラマーは現在行方不明らしく、限定クエストクリア後にどういう仕様で組んであるかが全く分からないのだそうだ。
そんなことを聞いてもカナリアはちんぷんかんぷんで、真剣に話しているジャッジたちを尻目に、アクセサリー作りをしてしまおうかとか考えていたりする。
元々、攻略サイト自体をほとんど見ないカナリアである。攻略に必要な情報は大半がジャッジ経由でもたらされる。攻略サイトもゲーム運営会社で出しているものだ。
つまり、「楽しいところは自分で体感してね(意訳)」というものしか見ていないのだ。
あぁぁぁ、兎の角で細工を作りたい。毛皮でまた作りたい。そんなことを思ってしまう。




