ゲーム的学習塾~クリス巻き込まれる~
いつもありがとうございます。
現実世界よりも進める時間を早く出来るというVR。医療分野では様々な恩恵を受けているが、他はゲーム以外ないと言ってもいいくらいだ。
十年位前に学習分野で恩恵を受けたという噂があった。
だがあくまで噂。
いつの間にか都市伝説と化し、ゲームは「勉強を阻害・恩恵があったとしても暗記分野だけ」という見解がはびこっていた。それを払拭してやろうじゃないの、そうディッチに声をかけられた神崎はすぐに飛びついた。
ただ、こちらにもデメリットはある。テキストなどは現実世界に持ち出せない。
そこで考えたのが課金を利用したテキストのプリントアウトである。無課金の場合は、ゲーム内でしかテキストを見れない。その違いはあれど、勉強が出来るわけで、これで成績が伸びれば、現在のゲーム会社を通じて新しいソフトの開発に乗り出せる。
すぐにこの考えに至った神崎はボランティアで勉強を教えてくれる人を募集。あくまでゲーム内のため、報酬というものは存在しない。
ここまで説明を受けたクリスはめまいがしてきた。何をやらかしてるんだ、と。
「通常恩恵にあずかっている自動翻訳を切れば、これまた語学の実地勉強になるわけで」
書き取りこそ現実でやればいい。重要なのはどこでも通用する語学力だと。
余談だが、英語に関してだけ責任者がいるという。「神社仏閣を愛する会」のギルマス、カーティスだ。イギリス英語、しかもBBC英語やブリティッシュアクセントと呼ばれる発音をするため、生徒たちはうろたえているらしい。
そんなわけで今回はイギリス英語VSアメリカ英語を聞いてみようということになった。
<……デスマーチの方が楽だ>
終わったあと、クリスはそう呟いて小屋をあとにした。
もちろん、クリスを学習塾へ誘う包囲網はその時には出来上がっており、時折ボランティアで英語講師をする羽目になった。




