変更後クエスト 3
いつもありがとうございます。
数名でいい、砦内部に避難させ、全滅を防ごう。そう考えていた指揮官三人は言葉を失った。
「……そういや、カナリア君のスキルに『飛行モンスターの友達』ってあったっけ」
翼竜がそこまで集まる理由にはなっていない。もう一つの理由としてジャスティスの「翼竜の愛を得る者」という称号も重なっているだろう。
上空からモンスターを駆逐する翼竜たち。そりゃもう、空を埋め尽くしている。
『……ディッチさん。おそらくこの翼竜全部、カナリアに餌付けされたやつらだ』
「マジか」
唐突に連絡してきたジャッジの言葉にディッチは呆れるしかなかった。
『一頭、カナリアが騎乗モンスターとして手に入れてただろ? 一応ギルドで討伐されないように目印つけとけっていわれてて、首に鉱物をふんだんに使った首飾りをしてるんだが、それがいる』
「つか、その報告俺受けてないんだけど!?」
というか、騎乗モンスターとして翼竜を手に入れたことしか知らない。そして、呼んでもいないのに来るというのがおかしい。
『カナリアだからなぁ。何だかユニが嫉妬するくらい面倒見てるらしいし』
のほほんとジャッジが言う。
『つか、その翼竜に関しては、ギルドだろうが個人のだろうが拠点にいられると困るからさ、通常は翼竜の巣がある場所にいてもらっくれっていうのが、俺から頼んだこと。時々ミートパイを持って行ってるのは知ってたくらいだし』
「このおびただしい群れは?」
『多分、一緒に餌付けされていたのと、メルが助けでも呼んだんじゃないかというのが、俺とディスの推測』
そういやさっき戻してたっけ。ディッチは思い出していた。
『俺は大砲撃ってたからほとんど関知してないが、ディスの話だとかなり喚いていたらしい。“ジャスティスの一大事!”って』
「……あーーー」
なんというか、言葉を失うというのがしっくり来る。
いや、前回のレイド戦で起きた出来事だけなら、炎を吐く翼竜しか来ないはずだ。
今来ているのは炎を吐く翼竜だけではなく、水を吐く翼竜に、風を自在に操る翼竜まで来ている。
今回のクエストは翼竜関係ないよね!? そう全員の目が訴えている。
「一度退却! カナリア君とジャスはこの場の指揮よろし……」
「大丈夫だぞ! 竜神様から色々といただいてきた! 砦でメルが配る!!」
声高らかに叫んだメルの言葉を裏付けるかのように、翼竜たちが咆哮をあげる。
「皆さん、ありがとうございます。後ほどお礼しますね!」
「……しばらく殲滅させておくから休んでいろとのことです」
カナリアが翼竜に言葉をかけた次の瞬間、ディッチのと肩に手を置きジャスティスが言う。
「……ご苦労さん」
「これ、十八禁区域がなくてよかった」
砦に入ったあと、ぼそりと呟いたジャスティスの言葉は聞こえなかったことにした。
~~ディッチ、カナリアに少しばかり説教をする~~
ディッチ「で? これだけの数になった理由は?」
カナリア「リアちゃんのお友達とか、そのご家族とか、一緒にご飯食べたことのある子たちとかだと思います」
ディッチ「思うって……あのねぇ、お願いだからこういうことは報告して欲しいんだけど」
カナリア「……来ると思ってませんでした」
ディッチ「そりゃそうだけどね! なにあの無駄にエンチャントの高いアクセサリー」
カナリア「無駄じゃないです。リアちゃんは女の子です! お洒落は女の子の特権だって先生だっておっしゃったじゃないですか! 頑張ったら色々ついちゃっただけです!」
ディッチ「頑張りすぎ!」
~~雌翼竜(お年頃)たちのひそやかな会話~~
1「ジャスティス様がピンチだそうよ!」
2「だから子供じゃ無理だって言ったのに! 助けに行かなくっちゃ!」
3「そうよ! 行かなきゃ! 兄、姉も誘うわっ!」
2「急がなきゃ! ジャスティス様にいいところ見せないと!」
1「その通りよ! だってカナリアだってピンチだって言うんだもの!」
3「急ぎましょ!」
1,2,3「そしてジャスティスの正妻の座をこの手に! そのためにはいいところを見せないと!! そして押し倒すのよ!!」
(運営「いや、このゲーム十八禁じゃないですからね? そういったことは不可ですよ~~」)
お粗末さまでした




