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別の問題


「……鍛冶と裁縫もやりたい?」

 車で移動中、カナリアは次の希望をジャッジに伝えた。

「はいっ。時々指輪の注文をいただくようになったんですけど……。今お世話になっている職人さんは『教えられない』って言われちゃいまして。金属は使い方が違うんだそうです。ワイヤー状になっているものを細工するのは可能らしいんですけど」

「……なるほどな。最近鉱石とボーンをビーズのように使ってるだろ?」

「ダメ……なんですか?」

「いんや。その発想がほとんどなかったんだ。だから、細工師のスキルだけがかなりUPしすぎたんだろ。いいことだ。最近ではPCやNPCでもやろうとしているやつが多い。お前みたいに上手く出来ないみたいだけどな」

「私だって、上手く出来ないことの方が多いですよ? 壊れたのは銀粘土の中に埋め込んで使ってるだけです」

「……あぁ。一番お前が作っている『銀の腕輪』か」

 カナリアが作っているものまで知られているとは驚きだ。

「確かにああされると、失敗したとは思えないな。……それで安価なのか。ボーンが砕けたやつはどうしてる?」

「土に還してます。彫ったやつもですけど、庭で家庭菜園でも出来ればいいと思って」

「……見事な方法だ」

 その家庭菜園を管理しているのは、カナリアではなく、セバスチャンとリースなのだが。

「皮革で失敗したやつは?」

「毛皮は小さなボンボンみたいにして、別のアクセサリーにしてます。皮のほうは、別の皮アクセサリーに縫い込んだりしてますけど」

「お前……。いや、セバス。カナリアの裁縫師のスキル見てみろ」

 運転しながら、ため息をついてジャッジが言った。

「あがっておりますよ。普通に服くらいなら失敗せずに縫える程度には……」

 タブレットを開くことなく、セバスチャンが答えていた。

「十分だ。近くの服屋で軽く修行するだけで、好きな服を縫えるレベルだな。……それはそうと、カナリア。お前、サブ職業用のスキルばっかり上がってて、メインのLVが低すぎんじゃないか? そのうち材料集めに苦労するぞ」

「ほえ?」

 服が縫えるようになるかも、という嬉しい言葉にホクホクしていたカナリアだったが、ジャッジにあっという間にどん底に突き落とされる。

「布地を買ってやるならそこまで問題じゃないだろうが、それなりに手の込んだものを作りたいなら、素材から集めた方がいい。リースの服を作った知り合いは、素材を集めて織機を使って織っている。んでもって裁断して、服を作る。その方が付加価値がつけやすいんだと。好みの色に染められるのも利点だと言ってたな」

「ん~~。特にそこまでは。お洋服を縫えるのは嬉しいので、そこで止めておきます。編み物はしたいなって思ってますけど」

「……その素材はどうすんだ?」

「……あ」

 素材集めのためにはLVが必要になる。これからはジャッジがいない時に素材集めに行くこともあるのだ。

「……LVあげします」

「急にしなくていいからな。根つめすぎるな。……指輪の件に話を戻すぞ。鍛冶屋じゃなく、もう一ランク上の細工職人のところに弟子入りしろ」

「はいっ」

 的確すぎるジャッジのアドバイスに、カナリアは元気よく返事をした。


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