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現実世界にて<養子騒動第一弾>


 当然、マーカスとレイモンドは門前払いをくらっている。

 そんなことなど、保の知ったことではないが。

「で、砂○け婆様。あの二人組何とかしないと落ち合えねぇんだけど?」

「分かっておる。孝道と義道の二人に頼んである」

 今回の尻拭いにあの二人の排除を頼むのは当然だろう。秘密裏に良平たちと連絡を取り、何とかあちらも余計な者との接触がないことだけは確認済みである。

――ディスとジャスでカナリア君ように新しい服を作ったそうだ。乞うご期待?――

 何てメールをもらった日には不安しかない。


 カナリアは「娘香の巫女」になったせいか、ウサミミと兎コスは出来なくなった。正直似合っていたとは思う。そのうちディスに頼んで可愛い服でも見繕ってもらうかと考えている。


 元々、美玖であろうがカナリアであろうが着る服にあまり頓着していない。もう少し可愛い服でも着ればいいのにとか、もう少し似合う髪形にすればいいのにと思うが、今までの状況からして無理だろう。

 だとしたら保が頼んで用意してやればいいのだ。


 そう考えただけで楽しみが増す。確か良平か隆二が言っていた筈だ。相手に服を贈るのは……。

 そこまで考えていたら、昌代が保の肩に扇子を落としてきた。

「邪なことを考えるでない」

「読心術使わないでいただけますかね、陰険策士様」

「使わんでも、お主の顔を見ていれば一目瞭然じゃ。それに美玖の第一の里親候補は我になったからの。可愛い美玖で邪な想像はするでない」

「え!? 良平先生じゃないの?」

美玖が(、、、)我を選んでくれたのじゃ。我は取り繕うたヤンデレに嫁に出すつもりはないぞ? お主もきっちり治すことじゃな」

 高笑いしそうな感じで去っていく昌代を、保は脱力して見送った。


 一番解せないのは、山に行った数日でそれが決まったことなのだが。


 後日、この里親の件は白紙に戻った。


 きっかけは良平の言葉だった。

「う~ん。古瀬さんが自分の意思で選んだものを尊重してあげたいが、そればかりはな」

 孝道たちが不満を昌代にぶつける中、一人良平は美玖と話していた。

「古瀬さんの里親が、女帝になられると俺は古瀬さんを『小母さん』と呼ばなくちゃいけなくなる」

「ふぇ!?」

「何せ、悠里の祖母だからね。その人の娘という扱いになるわけだからねぇ」

 にやりと笑い、焦る美玖にそのあたりの話を延々としていく。そして、留めの言葉がこれだった。

「たとえ俺たちの養子になろうが、義両親の養子になろうがここに住みたいって言うのを止めるほど、俺たちは馬鹿じゃないよ。それに保のことも考えると、女帝がそばにいらしたほうがいいだろうし」

 年上に「小母さん」呼ばわりされたくないし、昌代のそばも離れたくない。そんな美玖の考えを理解した上での作戦ともいえた。



 養子騒動第一弾は、こうして幕を閉じたのだった。


勝者良平!?

保に誰がこんな知識を植えつけた一人が言うと……

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