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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
真実の章

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現実世界にて<限定クエストの謎へ>

 正芳と保が「TabTapS!」をやり始めたのは同時期。今から三年くらい前だ。そして、正芳が「TabTapS!」だけに絞ったのは一年前くらい。つまり、それより以前からやっていたプレイヤーとなる。

 正直な話、正芳も保も「TabTapS!」がいつから発売されたいたのかも知らない。そんなゲームなのだ。

幸也(ゆきや)隆二りゅうじに誘われたらしい」

 正芳は保と会った時にそれを伝えた。

「幸也は知ってたのか?」

「幸也も限定クエストはクリアアナウンスがなくなったから、終わったものだと思い込んでたらしい」

 保の問いに、正芳はあっさりと答える。あれだけ大々的にアナウンスされるのだ。暫くなければ終わったものと思われてもおかしくはない。

「……隆二に会うしかないのか」

 保が嫌そうに呟いた。

 隆二は現在北国にいる。ゲームをやっているかは分からないが、「TabTapS!」の中で話を聞かないところをみるとやっていない可能性が高いのだ。

「隆二に会うのがそんなに嫌か」

「いや? 隆二とゲームの話やプログラムの話をするのは楽しい。……数日美玖のそばを離れるのを考えると……」

「おまっ……」

 まずい。かなり重症化している。正芳は思わず美玖に同情した。

「それに、美玖も俺のそばでログインしないと少し不安みたいなんだよな」

 どっちもどっちか。その言葉を何とか飲み込んだ正芳は、思わずため息をついた。

「ただ、女帝さんとしては俺たちに動いて欲しいんだろ?」

「というか、自由の利く俺だな。ただ、こういった場合どうするかあの陰険策士様は考えていないだろ」

「……日本限定だったことに感謝してるんじゃないのか?」

「分からないだろ? 隆二はかなりグローバルな人間だ。どこの国のやつに誘われてもおかしくない」

「……まぁな」

 報告は逐一保がしている。「さっさと情報を集めんか」としか言わない昌代に、ある種の尊敬を覚える。

「とりあえず、隆二に会いに行くか。あいつ、携帯も繋がらない山の中にいるからな」

「頼む」

 一般企業に勤めている正芳は、そこまで時間が取れない。やはり、フリーで仕事をしている保が動くしかない。

「……俺がログインできなくて、美玖に何かあった時頼む」

「あぁ」

 その前に、そんな状況で美玖がログインしてくるとは思えないが。



 翌日、保は美玖と昌代に数日出かけると伝えた。

「帰りは?」

 美玖が不安そうな顔でこちらを見る。

「二、三日で終わるはず。さすがに電話でどうこうできる相手じゃないし。良平先生に毎年年賀状を送ってくれいた住所を頼りに向かうから」

「……そう、ですか」

 ややしょんぼりとした美玖を保は抱きしめた。

「お主ら、少々羞恥心というものを持ち合わせてはどうじゃ?」

「明日から暫く会えないのに?」

 昌代に言われ、離れようとしていた美玖を抱きしめたまま、保は答えた。

「……お主の頭は何本くらいねじが外れておるのじゃ」

「頭にねじはありませんからね」

「ものの例えじゃ。……まぁよい。気をつけて行くのじゃな。美玖はその間ログインはどうするつもりじゃ?」

「……かぐやさんと月詠さんには出来るだけ毎日ログインするようにって言われてますけど……。周一郎さんも怖いので、今日もう一度だけログインさせてもらって、暫く出来ないと伝えておきます」

「さようか。あれも愚かであるかなら」

 どうやら昌代と富岡の修行が辛くて数度逃げ出しているらしい。サブマスが逃げるのだから、他のメンバーも逃げるというものだ。

「その間、私もこちらで情報を……」

「美玖。得手不得手というものが誰にでもあるだろう? 美玖はそんなことをしなくていい」

 限定クエストをクリアした美玖ことカナリアへのバッシングもかなりある。それを保は見せたくなかった。

「それは、私が、たくさんの人に、色々言われているから、ですか?」

「……知ってたのか?」

「はい。周一郎さんやレイモンドさん、あ、『深窓の宴』のギルマスさんです、にも言われました。ネットでそう書かれてるよ、って」

「自分たちのこと棚上げで何やってんだよ、あいつら!」

「さよう。それも踏まえて諒庵殿ともう少し修行時間を増やそうかと思うておる」

 保の怒りに、昌代は当然のごとく返してきた。

「あやつらは限定クエストのことを、知っておるのであろうな。だからこそなのかも知れぬ。そもそもただの忠告とも取れる内容じゃが、周一郎のほうは美玖と会わぬようにさせておっても、そのようなことをする」

 だからこそ、保たちを急かしているのかもしれない。


「なるべくいい情報を持ち帰ってくることを期待してくれ」

 保はウルトラブックと虎の子の衛星を使う携帯を持ち、隆二の住む山奥へと向かった。


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