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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
新しいトモダチ
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兎レイド戦へ向けて

 そのあと、レイド戦に向けての準備作業となる。

「神社仏閣を愛する会」のメンバーはともかく、「カエルム」のメンバーは初参戦だ。つまり、映像上でしか戦いぶりを見ていないのだ。

「……ジャス、ディス、とりあえずいいもん作ってくれ。出来れば他の連中に渡せるくらいに」

 数年分のデータがあるのだ。出来うることなら今年で終わらせたい。カナリアを省こうとしたが、真っ向からカナリアが反対してきた。「欲しい素材は自分も手伝いたいです」と。

 ジャッジが前線で戦うのが決定している今、正直カナリアのLVは足を引っ張るだけなのだ。

「私が解体作業専門に回ります! だからお願いします!」

 解体作業に最低一人いたほうがいいというのは、「神社仏閣を愛する会」からも了承をもらえた。

「パパンさんたちはどうします?」

「私たちは遠慮しておくよ。薬などの調合をさせてもらうが」

「私は出ますよ」

 ユーリも参戦が決定した。

「カエルム」からは、ディッチ、ディスカス、ジャッジ、ジャスティス、スカーレット、カナリア、そしてユーリ。「神社仏閣を愛する会」のメンバーを含めても十二人だ。

 あと六人、知り合いに声をかける。最後の「巨大一角兎」にだけ、集中してもらえればいい。おそらくカナリアとユーリが解体専門になるだろう。

「……どこに声をかける?」

 収穫祭真っ只中の十一月、他のところの優先順位など決まりきっている。

 パパンたちは実際、そちらを楽しみにしている節がある。カナリアもパパンたちに食材を色々頼んでいるようだ。


 そんな折、「神社仏閣を愛する会」と「カエルム」に「深窓の宴」ギルマスから連絡が入った。



 ギルド「深窓の宴」にも激震が走った。ここ数年、ギルドカウンターを通して来ていた指名依頼を二度としないと通達が来たのだ。

 トールの一件が尾をひいているというのもあるだろうが、一応関係したところには全て謝罪をした。今回は十万Pという金額まではいかなくとも、請け負うつもりで人員を確保していたのだ。

 ギルド内会議でも、議題にのぼった。

「……参ったな」

 毎年連れて行くメンバーを決めていたのは、確かにトールだった。だからトールが新たに立ち上げたギルドに依頼するのかと思ったが、それも違うようだ。絡んでいるのは、今もっとも関わりあいたくない、「カエルム」である。「カエルム」と利害が一致したため、多額でない依頼料で済むことになりましたから、とまで言われた。

「くそっ」

 シュウが苛立ち紛れに呟いていた。レイとしては、どうしたらいいものかと悩んでいる。

「困りました。ただでさえ、初心者にもってこいのレイド……」

 いつもトールと一緒に行っていた幹部が口を滑らせた。その言葉は、レイたちを怒らせるに十分すぎた。

「……どういうことだ」

 サイレンがその幹部を睨んだ。

「……えっと、いや……その……」

「初心者用のレイド戦から毎年十万Pもの金を取っていたのか!?」

 サイレンの怒鳴り声が会議室に響いた。

「……正式には一日十万Pですから、おおよそ七十万Pほど毎年受け取っています。トールたちに任せていたのが仇になったようです」

 会計係もため息をついている。しかも、十万Pのうち、三万Pを武器防具、それから回復薬などを揃えるためと言って、トールは懐に納めていたのだ。

 気付いたのは、「神社仏閣を愛する会」に謝罪に出向いた時だった。薬など全て「神社仏閣を愛する会」で用意していたということを知らされた。


 ぼったくりもいいところだ。初心者用レイドであれば、指名依頼だとしても、五万Pももらえばいいほうだ。おそらくその他にも「神社仏閣を愛する会」では指名のための固定金を最低でも十万Pを支払っていただろう。

「……ギルマス、どうします?」

「今回は一万Pで引き受けるつもりをしていた。それすらも拒否なのか?」

 シュウも心痛な面持で訊ねてきた。

「分からない。こちらにはあとは頼まないとしか来ていない」

 どんな方法を取って、人数を集めるというのだろうか。

 今まで十二人という人数を派遣していた。さすがに全戦力を「名月クエスト」に注ぐつもりでないのは、動きで分かる。

「『神社仏閣を愛する会』並びに、『カエルム』に俺から連絡をする」

 悪名は中々消せない。たとえ原因を追放したとしてもだ。


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