表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
新しいトモダチ
144/434

名月のレイド戦に向けての話し合い

 その頃、ベテラン勢はレイド戦の話を話をしていた。

「……HPはそれほど高くないが、問題は防御力か。……というよりも、このレイド戦おかしくないか?」

 白兎からレイド戦までの映像を見たディッチはふと思った。

「うん、おかしい」

 スカーレットも感じたらしく、すぐに同意してきた。というよりも、ベテラン勢は全員以前のクエストを見て気がついたのだ。

「白兎、黒兎は団子とススキッスを取りに来るというので、間違いないんですね?」

 ディッチはあえてカーティスに訊ねた。

「はい。パーティ全滅して戻ってくると、団子とススキッスはなくなってます」

 公式HPにも、「ススキッスと団子を白兎が取りに来る。団子とススキッスを守ろう」とした書かれていない。

 何故二回に分かれるのか。名月の月見は本来二度行われるから。

 それだけが理由になるはずがない。そのあとの巨大一角兎に繋がらないのだ。

 そもそも、名月クエスト以外の島の住民は「一角兎が団子とススキッスをもっていって当たり前」という感じが見受けられる。


 本来であれば、成功すればレイド戦など起きない。巨大一角兎との戦いに理由が見当たらないということになる。

「僕たちもそれは考えていますが、結論は見つかっていません。アナウンスでも『クエスト失敗』というのは流れませんから」

 マモルが言う。

「ひょっとすると、この先にもう一個クエストがあるのかもな」

 これは数多のレイド戦をこなしてきたベテランプレイヤーディッチの勘だ。

「あなた方さえよければ、数年単位でこのクエストに関わらせてくれ」

「……よろしいの、ですか?」

「構わない。レイド戦の裏にある情報も欲しい」

「その分、値引きさせていただいてよろしいですか?」

 カーティスがそろばんをもってきて、いきなり金額交渉に入った。


「正直な話、この人数では足りないから俺の知り合いを数人足したいんだが」

「ほほう。いかほどお値段を足せば……」

「俺たちは知的好奇心とカナリア君の物欲を満たせればそれでいい。だから、巨大一角兎を一羽倒すごとに千Pが妥当だ。他の連中も倒す数によって決めればいい」

「しかし……」

「他の連中は固定金一万Pに巨大一角兎一羽ごとに一万Pでどう? 巨大分が私たちが支払う」

「は!?」

 スカーレットの言葉に、「神社仏閣を愛する会」のメンバーが驚いていた。

「だって、今までのレイド戦とかを見ていると、レイドボスの肉や血清は錬金アイテムだからね。あたしが欲しい。カナリアちゃんは角と毛皮が欲しい」

「……角と毛皮はそこまでやれませんが」

「何故に?」

「角は柱に使いますし、毛皮は毛を取って、権力者の天井に使うことがあるんです」

「毛皮はそこまで数要らないでしょ?」

「そうですね」

「不要物をこちらで有効利用すると考えてよ。角も資材のあまりで十分!」

「そう考えると、私たちも出費が少なくて助かります。今まで『深窓の宴』に指名依頼をしていたのですが、毎回十万Pほど飛んでいましたから」

 レイド戦を見ればわかる。「深窓の宴」メンバーが出張っているが、手を抜きすぎているのだ。

 それを伝えれば、カーティスたちは「やはり」と言ったきり、がっくりと肩を落としていた。

 どこかでそれを感じていたのだろう。だが、どこに頼んでも一緒だろうから少しでも倒してくれる「深窓の宴」に高い金を出して依頼していたのかもしれない。

 しかも一日十万Pなのだ。七日間であっという間に七十万Pも飛ぶ計算だ。ディッチたちからしてみればぼったくりもいいところだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ