表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/434

初クエスト、何とか終了!

 クエストがクエストゆえに、カナリアはスマートフォンを大剣にしたもの以外で戦うことができない。ジャッジ曰く、ジャッジが持っているアイテムの中にはもっと軽く攻撃力のある大剣があるらしい。

「魔法攻撃を重点に置くなら、要らないだろうけどな。このクエストが終わったら、携帯電話を杖にして戦うクエストを受注しろ。それをしがてら、アイテムの採取をしていけばいい」

「はいっ」

 まずは間違って受注したこのクエストを終わらせるしかない。索敵をしながらタブレットを見る前に、先ほどと違うモンスターが現れた。

「あれは関係ないから俺で倒しておく。お前はウォールベアだけに集中しろ」

 そう言って銃を放っていく。一部聴覚と嗅覚も少しだけ下げてある。そのおかげで銃声はそこまで大きく感じないのがありがたい。

「その拳銃ってどうしたんですか?」

「知り合いの武器職人から買った。本当に、このゲームの職業は現実でなれない職業につくやつが多すぎだ」

 冒険者然り、そうジャッジが言う。

「そのバイクは?」

「整備は俺だが、作ったのは知り合いの職人。山中にある村に住み着いて車屋をやっているぞ。自動車まで作っているからな」

「そんなものまで作れるんですか!?」

「LVと熟練具合で作れるようになる。……その前に索敵に集中しろ」

 他愛もない会話をしていたら、ジャッジが少しだけ真面目に言った。

「ミ・レディ。後ろ!」

 セバスチャンの声に振り返ると、既に熊が傍にいた。


 セバスチャンがすぐさまウォールベアに攻撃力ダウン、防御力ダウンの補助魔法をかけ、リースがカナリアに攻撃力UP、防御力UPの魔法をかけていく。

「ありがとうございます!!」

 スマートフォンを大剣に変え、ウォールベアに向かっていく。まだ攻撃パターンはつかめていないが、あてたら逃げる、を繰り返して何とか一体倒した。

――クエストの途中経過です。ウォールベアを一体倒しました。解体し、アイテムに変換してください。

 大剣を一度スマートフォンに戻し、ホーム画面より「解体」をお選びください――

 スマホに戻したものの、ホーム画面が分からない。

「一度ホームボタンをタップ。んでここに倒すと『解体』という文字が出てくる。これを押せ」

 ジャッジに言われたとおり、カナリアは操作していく。するとスマートフォンは鋭利なナイフのようになり、勝手に解体をしていく。

 分かれたのは、熊肉、熊の皮、熊の骨、熊の内臓。それからウォールベアが持っていた回復薬(小)一個だった。

「ミ・レディ。熊肉は今から調理するために私がいただきます。内臓は調合の材料ですが、まだ使えませんので、皮と骨だけを鞄に仕舞ってください」

「お前、細工師か裁縫師を狙ってんのか?」

 ジャッジが不思議そうに言う。

「いえ……いつもは何も作らせてくれないので、こっちでくらい作れるようになりたいんです」

「なるほど。じゃあ、それ貰っておけ。俺は内臓を貰う。知り合いの薬師と調剤師に渡す」

 そして、鞄から何かを取り出した。

「LVがあがって、金に余裕が出来たら倉庫を購入しておけ。増えたら徐々に容量を増やしていくといい。倉庫は一部鞄と直結しているから、その部分はいつでも取り出せる。タブレットで選択すれば、鞄を開けずにアイテムが出てくるぞ」

 そう言って渡してきたのは彫刻刀らしきものだった。

「これ位の硬さがあれば初期のモンスターの骨は彫れる。時々研いでおけよ。砥石はその辺に落ちているからな。ウォールベアを一人で倒した祝いだ」

「ありがとうございます!!」

 解体がそこまでリアルでなかったおかげで、熊肉は美味しく食べられた。



 残り二体も何とか倒し、クエストをクリアすると「移動場所を選んでください」というアナウンスがタブレットから流れた。

「?」

「今いるのが休息場だからいいが、討伐クエストとかになると休息場から遠い場合もある。そういったときに使う機能だ。とりあえず『近くの町』を選んでみろ」

 ジャッジに促されるまま、カナリアは「近くの町」を選ぶ。すると、「初心者の町」の門のそばに立っていた。

「休息場でも問題はない。そこからは移転魔法を使えばいいだけだ。あとは歩いて帰るからという理由で選ばない方法もある。これはクエスト受注主だけが選べる方法だ」

 つまり他の面子は選べないということらしい。

「凄く便利ですね」

 カナリアがそう言うと、ジャッジはなんとも言えない顔になっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ