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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
過去と治療

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現実世界にて<微笑ましい光景>


 少しずつではあるが、美玖はこの家の家主たちに少しずつ慣れてきていた。

 保がいないと部屋から出てこなくなるようなこともなくなり、大半をリビングで過ごすようになっている。


 もっとも、この家の中で誰に一番懐いているかといわれれば、間違いなく昌代だと全員が言うだろう。最近では昌代を「おばばさん」と呼んでいるあたり、親しさが伺える。

 二人で楽しそうに小物を作る様子は、確かに祖母とひ孫……ではなく孫の微笑ましい風景だ。

「保よ。また失礼なことを思うたな?」

 昌代の突っ込みに、千里眼と地獄耳の他に読心術も持ち合わせていたのかと、今更ながら思う。

「きちんと訂正しましたが?」

「ふん。心にもない訂正など要らぬわ」

「? お二人とも、どうしたんですか?」

 どうも美玖は昌代と保のやり取りを「微笑ましい」と見ているらしく、あまり気にしていない。

 他者の悪意には敏感な美玖らしくないと思ったが、狭山に「昌代様があそこまで言い合うのは保様だけですから、嬉しいのですよ」と言われた瞬間、昌代から見れば保も孫的な位置づけをされているのかも知れないと思っている。

「年寄りのツンデレは可愛くないですよ?」

「誰がツンデレか。我がツンデレなら、お主はヤンデレだろうが」

「ヤンデレで結構です。……美玖に嫌われなければ」

「孝道たちはヤンデレなどに自分の可愛い娘を嫁がせんぞ?」

「そういうものは、しっかりと取り繕う術をもっていますから」

 二人の間に火花が散る。美玖はそれを気にすることなく作業する様は、狭山たちすら驚いているのだが。

「保さん。明日って時間ありますか?」

「? どうしたの?」

「実は明日から、『TabTapS!』に少しずつ繋ぐ事が出来るようになるんです。といっても、以前のようなヘッドギアじゃなくって、あのカプセルからなんですけど」

「……あのカプセルってゲームに繋げられるの?」

 一昔前ならそういうことも出来たというが、今では話を聞かない。それくらいゲーム用のヘッドギアも性能がよくなり、現在では医療用とゲーム用で別々に進化をとげている。

「元々理論上は可能じゃ。禰宜田では独自にフィールドを作成して研究をしておる。研究用VRはゲームと医療用をベースにしておる。それを軽く応用すればいいだけじゃ」

 美玖のリハビリにもそのフィールドの一部を使っていたという。


 その凄さが分からない美玖は純粋にはしゃいでいるが、廃人に近いゲーマーだった保からすれば、かなりの驚きだった。


「明日は夕方からなら大丈夫だよ。午前中に仕上げをして、午後一で納品に行くから。

 それにもう『舞踏会クエスト』が始まってるし、丁度いいよ」

 美玖がいなければ参加をしないと表明した保を、良平は呆れながらも了承してくれた。現在は正芳が作ったドレスで、保以外が参加している状態だ。

 美玖が参加するとなったら、あの一連の服で参加することになるだろう。


 そうなると問題は、シュウに会ってしまう可能性があることだ。

 話題にならなければいいが、ワイドショーもニュース番組も、いまだ美玖の事件を取り上げている。シュウに会って責められなければいいのだが。


「舞踏会クエスト、とな?」

「不思議なゲームだからな。十月からがかなりイベントが活発になる」

 そう言ってイベントを挙げていく。

「名月クエストはないのか?」

「……確か、ソフィル大陸じゃなく、マリル諸島限定クエストで十月に一週間と、十一月に二週間あった」

 その間にマリル諸島原産の「ススキッス」という植物モンスターの捕獲と「シラタマル」というモンスターから取れる白玉粉を使って「団子」を作るというものだ。そして夜にその二つを外に置くと十月は「白兎」という角を持った兎モンスターが、十一月には「黒兎」と呼ばれる角を持ったモンスターが現れる。

 十一月に限り、一週目限定で「黒兎」が現れるのだが、この二種類のモンスターをどれだけ狩ったかによって、ポイントが違う。二種類の角が多ければ多いほど、そのあとの週に来る「巨大一角兎を捕まえろ!」ででてくる兎の数が変わるのだ。

 三種とも、ドロップアイテムは角と毛皮と肉。通常の一角兎なら何度か見たことはあるが、そちらのクエストはほとんどやっていなかったため、すっかり忘れていた。

「……聞く限り、日本に留まらず、他国の伝統文化を取り入れたクエストが多いのかも知れぬの。今度色んなところに行ってやってみるがよい」

「はいっ」

 元気に返事をしたのは、美玖だった。


そんなわけで、次回から美玖がVRに復帰します!!

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