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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
暗転の章

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現実世界にて<取調べの1コマ その1>


 取調室に、その女性はいた。

「ゲームのこと、ですか? 薄々は感じていました。パソコンを起動するとロックがかかっていて私たちではどうにも出来なかったんです。どうやって置いたのか分かりませんけど、もの凄く重くて……。ヘッドギアもどこにあるか分からなかったんです」

 母のところかと思い、行く回数を制限したものの、無駄。お小遣いを減らしても平気。だんだんイラついてきたと語った。


 聞いていた刑事も確かに、と思う。あのパソコンはどういう設計か重かった。そしてモニターがなくてもどうやら起動できたようだった。あの天才的な頭脳を持ち合わせた男なら、やりかねない。


「仕方なく、様子を見てました。凄く楽しそうにしている娘を見て、絶対に何のゲームをやっているのか突き止めたかったんです。

 そうしたら、七月の連休中に出かけるって。一日目は母のところに行くのを許して、他は禁止しました。だって、一弥やりりかも来るんですよ? 悪影響があるに決まってます。娘はそれを了承したんですが、残り二日、図書館に行くって。嘘だなって思いました。だからつけました。男と密会だったら、こちらの計画が駄目になりますからね。

 会ってたのが女性でほっとしたのも事実です。でも、女性が仲介人だったらどうしようもないと思って、ずっとつけてました」

 余計な口を挟まずに記録するというのが、こんなに苦痛だとは思わなかった。

「夏休みの補習、講習は希望者と赤点を取った者にするやつまで取ると言ったので、少しばかり安心してたんですよ。……見事に裏切られましたけど」

「裏切られた?」

「えぇ。あの学年主任と教頭。特に学年主任は一緒にゲームをしてたそうじゃないですか。いかがわしいったらありゃしない」

 そういう発想をするほうがいかがわしいよ。刑事は心の中だけで突っ込んだ。実際、学年主任とあの少女が一緒にゲームを出来たのは、偶然に等しかった。

「今年は、夫の実家でもかなり恥をかかされましたよ。まさか周一郎さんと同じゲームをしてるだなんて。しかも周一郎さんに認められるくらい優秀? あの子が優秀なわけないでしょう? 不器用で人の顔みておどおどするような、人殺しが。

 周一郎さんはとても優秀ですよ。そりゃ、古瀬の家の跡取りですからね。私たちにも気をつかってくれる優しい子です。あの出来損ないにまで心を砕かなくていいと私たちも、義兄さんたちも言ってるのに優しすぎですよ。調子に乗って、一緒に遊びに行ってそこで一緒にゲームした? ほんと、恥さらしです」

「では、どうして娘さんがゲームしている最中にヘッドギアを壊したんですか?」

「壊したのは夫です。私じゃありません」

「止めませんでしたよね?」

 少なくともあの少女よりもVRMMOをやっている時の無防備具合は知っていたはずだ。

「それでやめるなら、万々歳じゃないですか」


 どこまでも反省していない言葉に、刑事は怒りを覚えた。


どこまでも自分本位の母親でした。

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